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【短編小説】3/26『お風呂DEイチャイチャ』

 一日の終わりの癒しタイムを堪能するために仕事から帰る途中、スマホで遠隔予約。これで帰るころにはバスタブにお湯がたっぷり。
 ちょっとぬるめが彼女の好み。
 帰ったら一緒に入浴するのが毎日の楽しみだ。
 電車に揺られて帰る間、スマホに撮りためた彼女の写真を眺めてはニヤニヤする。
 見てみんな! この子可愛いでしょ! って見せびらかしたい気持ちをグッとこらえる。
 あぁ、早く家に着かないかな。
 スマホアプリを立ち上げて、部屋に設置されたカメラの映像を確認。
 彼女は暇そうにベッドに寝転んで、足をパタパタさせてる。
 あぁカワイイ。
 そうして眺めているうちに、自宅最寄り駅に到着。
 夕食を買い込んで家に帰る。
「ただいま~」
 室内に声をかけると、廊下の向こうからイソイソした足音が聞こえてきた。
「ただいま」
「キュキュー!」
 パタパタと走ってきたのは彼女―コツメカワウソ―のミャンちゃん。
「ミャンちゃんただいま。んー、元気元気」
 抱きかかえて廊下を歩き、部屋に戻る。
 ミャンちゃんはお腹が減っているらしく、しきりにすり寄って来る。
「お風呂の前にご飯にするか」
「ミャ」
 さっき買い込んできた食材の中からお刺身盛りを取り出す。一部をミャンちゃん用の皿に乗せ、残りはトレーのまま自分用に。
 同時に温め始めたレトルトご飯の加熱が終わる前にシュバッと部屋着に着替える。
 加熱終了の合図に「はいはい」と返事しながら、座卓に夕食を移動させた。ミャンちゃんは自分の席がわかっていて、こちらを伺いながら待っている。
「はいおまたせ。いただきます」
 手を合わせる俺の目の前でミャンちゃんが刺身を掴んで食べる。
「んふ~、かわいい」
 同じ刺身をおかずに飯を食う。うーん、最高。
 このあと一緒にお風呂入ってミャンちゃんと俺の髪の毛乾かしたら恒例のイチャイチャタイム。
 ぬるめのお湯にミャンちゃんと一緒に浸かって、しみじみ思う。
 あぁー、このために生きてる。
 飼育難しいかなぁとかお金かかるかなぁって躊躇してたけど、思い切って良かった。
「ずっと元気でいようねー」
「ミャン!」
 泳ぎながら鳴くミャンちゃんに癒されつつ、今日も長風呂してしまう俺なのでしたー。

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