【短編小説】8/19『残像』
カメラを手に道を行き、時折立ち止まって撮影をする。
明け方の澄んだ空気。
朝ご飯を食べる野鳥。
車が走っていない道路。
遥か向こうまで全部青の信号。
ビルの反射窓に映る太陽。
熱に焼かれて陽炎が立つ地面。
追いつけない逃げ水。
歩道橋から見る夕日。
誰かが住んでいる窓の灯り。
安全地帯のように光るコンビニ。
星が見えにくい空。
何気ない街の風景。
もっと色々な景色を、様々な人たちを、尊い時間を記憶したい。
明日、この星がなくなるその前に――。
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