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【短編小説】4/27『つなぐ』

 卓上の操作盤に並ぶボタンを押したり左右に移動させたりして音をつなぐ。合わされたふたつの異なる曲が混ざり合って、また分かれてひとつになる。音が会場内に広がって、フロアで人が踊りだす。
 卓の内側からその光景を見るのが好きで、毎週末に会場を借りてはイベントを打っていた。
 最初の頃は満足いくプレイができずに悩んだこともあるけれど、回を重ねるにつれ、その悩みも解消された。
 自分が作る音の流れにフロアの人たちが乗ってくれるのがたまらなく楽しい。好きな音楽しか流さないこの空間も心地いいし、改めて天職だなと感じてる。
 告知用のSNSにたまに届くダイレクトメッセージで、開催したイベントがキッカケで付き合ったとか結婚したとかいう報告をもらうと、それはもう天にも昇る気分になる。
 僕が繋いだ音楽が人の縁を繋ぐ。
 にわかキューピッドの気分で、次回のイベント用に音楽を漁る。
 僕の小指の赤い糸の先に繋がれた誰かも、音に気付いてやってきてくれたらいいな。

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