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【短編小説】12/17『最終的には天を仰ぐ』

 飛行機が飛ぶメカニズムは未だに解明されていないと聞いた。
 そんなことある? って思ってネットで検索してみたら、いともあっさり「解明されている」という学者のインタビュー記事を見つけることができた。なんだよ、そこから妄想膨らませてネタにしようと思ったのにさ。
 あぁー、ネタがない、ネタが。拾いに行くにも時間がない。外出するような体力もない。
 なんで先週ネタ集めておかなかったんだ、先週の俺。だって久々にゆっくりしたかったんだもん、先週の俺。
 返す刀で反論する。
 つかの間の休日に湧いたサボりたい欲求にあらがえるほどタフじゃないんだ、俺は。
 新聞連載をもらったはいいが、開始から一年弱もすればネタのストックは尽きてくるもの。
 いくら短編小説と言っても、元になるネタは必要だから知識は消耗していく。同じネタを繰り返し使うわけにもいかず、コスパという言葉を創作活動に使いたくないが、使ってしまうと【悪い】に尽きる。コスパ悪い。非常に悪い。ひとつのネタで長編書くほうが断然効率がいい。
 あぁ。飛行機が飛ぶメカニズム、なんで解明されちゃったんだろう。解明されていなければ妄想で遊ぶことができたのに。
 たとえば、空を司る神様が飛ばしてるんだとか、空を飛ぶ天狗たちが人に見えぬように機体を持ち上げて飛んでいるんだとか、風神が風の力を利用して風のかたまりに機体を乗せてるんだとか色々さぁ。
 まぁそれで一話分の文字数書けるかどうかは別の話なんだけど。
 もういい加減古い知識でやり繰りするのも限界見えてきたな。そろそろ脳内アップデートしないとかぁ。老害とか言われるの嫌だしさ。
 なんて理由をつけて執筆せずに、情報を吸収しようとネットを徘徊する。
 なにかいいネタ落ちてないかな、と目を皿にして文字を読み取りながら。
 そんなに都合よくいいネタ拾えないけど、仕方ない。お仕事を頂ける有り難みを噛み締めながら、ネタ帳と睨めっこを開始した。
 あぁ、執筆の神様ー! オラにネタを分けてくれー!

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