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【短編小説】4/20『甘くて芳醇な香り』

 旬が終わりかけの苺が安売りされてたからたくさん買ってきた。小ぶりで少し甘酸っぱい。
 2個ほどそのまま食べて、あとはヘタを取って洗って水分取って、半分にカットしたらボウルへイン。買ってきた苺、全部分作業する。苺の香りがふわりと立って、春だなぁって感じる。
 切った苺をボウルへ入れ終わったら、量っておいたグラニュー糖とレモン汁を振りかけてゴムベラで混ぜ合わせる。そしてラップをかけて一晩冷蔵庫で寝かせると、浸透圧で苺のジュースが出てくる。
 この状態で苺つぶして牛乳入れて食べても美味しいだろうなー、って誘惑もあるけど、我慢我慢。
 とりあえず家のことしたりごはん作ったりして過ごす。

 一晩明けて。
 いそいそと冷えたボウルを取り出す。よしよし、水分たっぷり出てる。
 水分と果肉を分けて、最初に水分を煮立たせる。とった灰汁は別途とっておいて、あとで紅茶に入れる予定。
 鍋の中で大きな泡ができてきたら、取り分けた果肉を入れて中火でグツグツ。灰汁を取りながらひたすらグツグツ。
 この辺で保存瓶の煮沸消毒を始めるために、別の鍋でお湯を沸かす。毎年、二週間も経たないうちに食べきっちゃうんだけど念のため……。
 そうして、ジャムも保存瓶も完成した。
 あとは瓶のふちにジャムがつかないように気を付けて入れていく……実はこの作業が一番慎重になる瞬間……。
 よーしよし、できた。あとは蓋を閉めて、少ししたらちょっと蓋開けて空気逃がしてからまた閉めて、蓋を底にするように逆さに置いて、冷めたら冷蔵庫へ。
 わーい、今年もできたぞ、イチゴジャム!
 冷めた瓶を光にかざす。うーん、綺麗。 
「お、できたのー?」
「できたよー」
「やったぁ。明日の朝、これでパン食べる」
「うん、そうしよう」
「じゃあ焼き立ての食パン、明日買ってくるね。二人で食べよう」
「わーい、お願いしまーす」
 このジャムに胃袋掴まれたのが、隣にいる旦那です♡

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