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【短編小説】5/29『たまにはシリアル』

 朝ご飯を作るのが面倒で、仕方ないかとシリアルの袋を開ける。皿に適量、カラカラカラ。
「にゃー!」
「ですよね」
 足元に瞳を輝かせた愛猫。袋の形状と音とで自分用のドライフードだと思ったらしく、シリアルの匂いを嗅がせたら不本意そうな表情になった。
 湧いた食欲が消えることはないようで、ニャーニャー言いながら足元に絡まってくる。つまづいたり蹴ってしまいそうで危ないから、さっき朝ご飯あげたばっかりだけど小袋のドライフードをあげることにした。
「ちょっと待ってね」
 テーブルの上にシリアル入りのボウルを置く。猫、すぐさま乗ってその中身を嗅ぐ。不本意な顔。
「そっちさっき匂ったでしょ」
 言いながら猫用のお皿を出す。自分の朝食は置いておいて、まずは猫にカリカリをカラカラ。
 さて、と自分も座ってシリアルの皿に豆乳を入れて食べ始める。
 カリカリジャクジャク。猫が立てる咀嚼音と私のそれが混ざって、なんだかにぎやかだ。
 美味しいよね、カリカリ!
 みたいな顔で見て来るのが可愛かったから、たまにはシリアルもありだなと思った。

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