尊敬する人

昨日は会社の新年会だった。
会社は、所員十数人の建築設計事務所。
創業者でもある先代社長とも一緒に懐石料理を囲んだ。

「俺はもう、91歳やぞー!
 111歳まで生きるんや。」
焼酎を呑み、普段からつやつやな顔が、さらにピンクになって、機嫌よくなってきた先代。

話はいつもどおり、
昔の武勇伝、
理不尽な建築指導に対して役所と戦った話、
有名ホテルの工事監理をしていた話、
・・・

論語や仏教などのお説教を、延々と話したりするので、煙たがっている社員も多い。

でも、私は先代の人柄が好きだ。

昔気質で、竹を割ったような性格。
曲がったことが大嫌い。
技術肌で研究熱心。
ある木造の工法の特許も、大学でいろいろと実験してとったそうだ。

今はかなり丸くなっているが、昔は、子供にも、社員にも、かなり厳しかったらしい。
私は、先代が実務を退いてから入社したので、直接その厳しさは知らない。
(直接しごかれていたら、嫌いになっていたかも?)

でも私は知っている。こういう人ほど、根っこの部分は、とても温かい。
(曾祖父もそうだった)
台風や大雪の時、終業時間になっていなくても、社員を心配して、早く帰れ、と言ってくれるのは、現社長ではなく、先代の方だ。
先代が作ったおでんや漬け物もふるまってくれる。
(これも試行錯誤を重ねて研究して作っているので、とても美味しい)

何より、その笑顔を見たら、優しさはわかる。

「人と一緒に飲む酒は、美味しいなあ」

と気持ちよく笑う先代の顔を見ていたら、
温かく嬉しい気持ちになった新年会だった。