見出し画像

高校生の私に宛てた手紙

高校生の私へ

拝啓

この手紙を読んでいるあなたは、毎日、学校に行くことが苦しくて、泣いてばかりいることでしょう。

毎日泣いているから、目の下も、鼻の下も常にガサガサになっていることでしょう。


部活では、荷が重い役目をうまく務められず、
教室でも何だか自分が1人だけが浮いている気がして、怖かったことと思います。
勉強にも全く身が入らず成績はめちゃめちゃ、部活も中途半端になって、なんでこんなに生きることが難しいのか、と嘆いていましたね。



そんなあなたは高2の冬に不登校になります。



今思い出しても、あの時は本当に苦しかった。
不登校になってしまって、自分の人生終わったな、と本気で思っていました。
普通のレールから弾かれて、このまま死ぬまで引きこもりかもしれないと思いました。


皆んなみたいに、どうして学校に通えないんだろう。

自分の弱さを「甘え」と信じきっていた私は、ずっと自分を責め続けていました。
学校をサボっていると親に嗜められたことも何度かありました。その度に私はまた
たくさん泣きました。なりふり構わず声をあげて泣きました。赤ちゃんみたいに。



ひとしきり泣き終わった私は、自分が普通に戻るための進路を組み立てます。


高3の私は、まず高校をやり直すために、通信制の学校に転入しました。
4年間高い学費を払ってもらうほど、自分の人生に価値がないと思っていたので、2年で卒業できる短大に入ることを決めました。


短大は変わったところでしたが、社会人になった今でも付き合いのある友達ができました。
そこでお世話になった先生とは、卒業した今でも連絡をとって、悩み話を聞いてもらっています。



短大を卒業して、さあ普通に社会人になるぞ、と思った私ですが、
残念ながら、大人になった私も、仕事に行けなくなりました。



根っこの弱虫な部分は何一つ変化していません。

いろいろな職場を経験したけど、いつもなぜか通えなくなってしまいます。
特に人に辛くあたられたわけでもないのに。

毎日涙を堪えながら、会社に行くことになります。涙は流している最中よりも堪えている時のほうが数倍苦しい、ということがわかりました。


あなたはある日、会社の自分のデスクで、皆んなの前で、嗚咽をこぼすほど大泣きします。あれは恥ずかしかった。でも、限界だったんだな、と今なら思えます。


そんな感じで、これを書いている大人の私は、あなたと全く変わっていません。
お酒があれば涙を乾かすことができる、ということを覚えたくらいです。

(高校生の私に言っておくと、私はめちゃめちゃ酒癖が悪いダメな大人になっています。酔っ払って失敗したことも何度かあるので先に謝っておきます。)


そんな荒んだ心持ちで人生を続けている大人の私ですが、成長して気づけたこともあります。それは、人に恵まれていることです。


仕事ができなくなった私は、家族をはじめ、友人、先生、恋人、たくさんの
人に私の話を聞いてもらいました。励まされたり、時には笑ってくれたり、すごくすごく貴重な体験をすることになります。

その体験を通じて、私は「周囲の人に本当に恵まれているな」ということを実感することができました。あなたには困った時に助けてくれる人がたくさんいます。これは一種の自分の才能だと思います。私の誇りです。あなたも胸をはってください。


また、逆に人の話をたくさん聞くこともできました。
あなたは、自分のことを弱虫だと思っていますが、それは逆に捉えれば、他人の弱さに優しくなれることです。人の相談や打ち明け話を聞いて、みんな暗中模索なんだな、と気づくことになります。


今のあなたは、たぶん、普通を目指しながら心のどこかで

「もっとぶっ壊れてしまいたい」

みたいな破滅願望に似た何かを感じていると思います。



それは、普通を諦めたかったから。

24になった私は、案外すんなり普通を手放すことができました。



まだまだ、これからどうしていこうか悩んでいる最中ですが、無理に普通になろうとしなくていい。好きな人たちと暮らして、アルバイトで働いて、たまに図書館で本を少し借りて読むことができたら、どうやら普通じゃなくてもそれで満足だな、ということに大人の私は気づきます。これは、たぶん人生最大の気づきだと思います。



あなたは、弱虫のままでいいんだよ。それがあなたの良さだよ。

無理やりみんなと同じにならなくていいんだよ。
なめらかじゃなくて、でこぼこしていいんだよ。
普通かどうかじゃなくて、あなたの意思で人生の舵をとっていいんだよ。


そんなことを10代のあなたに伝えたい。

今はまだ納得いかないかもしれないけど、

普通が苦しくなった時、普通じゃないも選べることを忘れないでいてほしい。


あとは、たくさん本を読んでほしい。

あなたの世界を間違いなく広げていくから。本は、外が苦手なあなたの代わりに、たくさんの知識を与えてくれます。そして、人生の参考書になる本を見つけてください。


長くなりましたね。この辺りで結びにしようと思います。



良くも悪くも、必ず朝は来るのです。


敬具

24歳の私より





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?