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たしかな想いを伝えていく

こんにちは!米の佐藤です。

今回はお仕事の紹介です。この夏に国立科学博物館で開催された特別展「植物 地球を支える仲間たち」の展示・webコンテンツとして、企画から入り、プロデュース・クリエイティブディレクション・制作を行った2つのお仕事について紹介します。

特別展「植物 地球を支える仲間たち」はさまざまな観点から植物を総合的に紹介する、これまでにない大規模な展覧会。最新の研究成果をもとに、標本や実寸大模型、映像、インスタレーション展示などを活用し、楽しみながら植物の実像や魅力に迫れる展示として開催されました。

米では、この展覧会の中で、光合成の仕組みを学べるインスタレーション展示・ブラウザゲーム制作と、花の遺伝子モデルについて学べる楽曲制作にてお手伝いをさせていただきました。

🌵光合成の仕組みを学べるゲーム
「光合成FACTORY(ファクトリー)」

光合成FACTORYは奥深くて複雑な光合成の仕組みを学べる体験コンテンツです。会場ではインスタレーションとして、さらにスマホでも体験できるブラウザゲームも公開しました。ゲームとしても、サイエンスとしてもしっかりと楽しめる内容になっています。

インスタレーション展示では、センサーの前で手を動かして、光合成の仕組みの一番最初のアクションである「光子を集めてギアに飛ばす」という動作を体験し、15秒間でみんなで集めた光子の数が得点として表示される、体を動かしながら楽しめるゲームに。

ブラウザゲームでは、リズムに合わせて画面をタップし、3ステップのミッションをクリアしていくタイミングゲームになっています。ゲーム結果によって獲得できる称号が変わり(全5種)、光合成の仕組みを体感できる高難易度なゲームになっています。(ぜひスマホでみてみてください!)


🌸花の遺伝子モデルについて学べる楽曲
「花の遺伝子ABC」

花の形は3種の遺伝子(A遺伝子、B遺伝子、C遺伝子)それぞれの組み合わせでどんな花の形になるかが決まります。そんな花の遺伝子を楽しく学べて、子どもたちが思わず口ずさんでしまうようなオリジナルソングを制作しました。
企画段階で、ABC遺伝子のことを聞いた時に「難しすぎる!」という印象から、子どもにも伝えやすく、歌にしませんか?と浮かんだアイデアがそのまま形になったこの楽曲。歌詞はカワムラユキさんにご相談し、キャッチーで頭から離れない歌を検討しました。

展示会場でも流れ、その他Apple MusicやSpotifyといった音楽配信サイトでも公開しています。曲調は80年代風の楽曲をモチーフとして、懐かしくもあり耳に残る特徴的な楽曲を目指しています!ぜひ聴いてみてください🤙

どちらも、展示期間中多くの人に体験いただき、特に光合成FACTORYは、NHKの番組や、さまざまなwebメディア、さらにあの(!)コロコロコミックにも一部取り上げられ、夏休み中の子どもたちに多く体験していただける結果となり、とても好評いただきました。

今年の開催は終了してしまいましたが、実は来年1月から、今度は大阪で展示がはじまります!

「植物 地球を支える仲間たち」
📅2022年1月14日(金)〜4月3日(日)
📍大阪市立自然史博物館にて

ご家族でもおひとりでも、カップルでもお友達とでもお楽しみいただける、サイエンスたっぷりの展示になっています。足を運んでいただけた際は、ぜひ光合成FACTORY花の遺伝子ABCを体験いただけたら嬉しいです!

詳しくはこちらをどうぞ!
https://komeinc.com/works/kougousei/
https://komeinc.com/works/abc/



🍚誰かの熱意は誰かのワクワクに変わる

この案件は二つとも、展示のいちコンテンツであるということもあり、はじめの企画段階から、展示の監修をされている日本全国の植物学の先生方と意見を交換しながら進めていったお仕事でした。特に光合成FACTORYに関しては

「光合成は生き物が生活する上で大事なことなんだけど、とても難しい。子どもたちに楽しく、わかりやすく理解してもらえないだろうか?」

という、先生方からの要望から生まれた企画です。先生方が口を揃えて”とても複雑”とおっしゃる光合成。。。企画を詰めていく上で、特に岡山大学の資源植物科学研究所教授である坂本先生とは何度もリモート会議をしながら、光合成についての知識を深めていきました。

ところで小学校の時に習った光合成ってどんなものだったかみなさん覚えていますか?

  • 光合成には太陽の光と水が必要。

  • 光合成で生まれたエネルギーが植物の栄養になる。

  • 地球上の二酸化炭素を吸って、酸素を吐き出す。

  • だから世界の温暖化を止めるためには植物が大事!

佐藤の知識はこんな感じでした。植物は自分のエネルギーを作りつつ、わたしたちが生きるのに必要な酸素を作ってくれてるんだ!!!と。(大体こんな感じですよね....?!笑)

「実はね、ちょっと違うんですよ」

と坂本先生に言われたあの時の衝撃は今でも覚えています。
光合成ってなんとなく二酸化炭素を吸収して酸素を生成するものだと思っていたら、それは間違いではないけど、本当は植物にとっては必要なエネルギーを生成する方が大事で、その副産物として酸素が”少し”できるだけなのだそう。。

これはかなり発見でした。
大人になって学ぶサイエンスがこんなに面白いとは…!

さらに光合成には光と水だけでなく他にもかなりの細胞や物質が作用していて、まるでアトラクションのように流れて、莫大なエネルギーを生み出しているのだということも知りました。先生方の専門的でわかりやすい説明で光合成の面白さを学び、これをどうにかサイエンスとしても伝わるようにしたいという先生の熱い想いを受け取り、制作チームも一同意識しながら進めていきました。

そして生まれた、植物の中の世界一小さな工場を舞台にした物語と、ポップな音楽とかわいいキャラクターたち。老若男女、小さなお子さまにも興味を持ってもらえて、かつ研究者の方がみても正しい表現を追求し、限りなくサイエンスに沿った形を意識&実現しながら、工場のパーツひとつ、キャラクターの動きひとつとっても細部までこだわった設計になっています。

公開初日、展示会場で子供たちが何度も体験をしてくれている様子を見て、とても嬉しかったのはきっと忘れないと思います。

先生たちから受け取った熱意が、クリエイティブの細部のこだわりへ変わり、それを体験する人たちのワクワクに変わっていく。改めて、私たちのお仕事は、誰かの熱意は、クリエイティブを通して、誰かのワクワクに変える。そのお手伝いができるお仕事なんだなあと感じました。



🍚プロデューサーは翻訳者

クライアントから制作チームへ。
制作チームからクライアントへ。

さらに制作チームの中でも、
例えば、映像チームからPRチームへ。
はたまたデザイナーからエンジニアへ。

プロデューサーやプロジェクトマネージャーは、使う用語や異なる価値観の人たちの間に橋をかける翻訳者になる仕事でもある。

と代表の山中に言われたことがあります。

同じ日本語同じ言葉でも、業界や立場が変われば意味が変わることもあります。それを同じゴールを目指すチームとして共通の想いや言葉に変えていく。今回は何度もそのことを思い出しました。

植物学の先生方、NHKの方々、展示課の皆さん、朝日新聞の皆さん、制作チームのディレクター、コピーライター、デザイナー、エンジニア、プログラマ、CGデザイナー、サウンドデザイナー、、他にもかなりの職種の人たちと、企画段階から含めおよそ10ヶ月の制作期間を共にしました。
関わる業界や職種がいればいるほど、知らないことや気づきが新しい発見になったりして楽しい。その一方で、知らないことや言葉も出てくるので日々辞書を引きながら仕事をしてる気分になることもありました。(それでも何度も間違ったり反省したりしてました。。)

さっき翻訳者なんて大そうなことを言いましたがそもそもわからないこともまだまだあります。けどそれをいつも助けてくれるのは、今回でいうと、先生方はじめ、デザイナーさんやエンジニアさん、それぞれのプロの知識を分かりやすく伝えてくださるプロの方々です。

(現場で連日大変な調整をしてくださった、invisi、STARRYWORKSのみなさん。
いつもすごく、すごく、心強かったです。)

1人ひとりがプロフェッショナルとしての仕事や知識を分かりやすく言葉にしてくださり、その中からわたしたちプロデューサーは共通の言葉を作っていく。それを翻訳者として伝えていく。それが積み重なってチームの言葉になり、目指すクラフトにつながり、最終的には「複雑な光合成の面白さを分かりやすく理解してもらいたい」という先生たちの想いを、展示に来てくださるたくさんの人たちへクリエイティブを通して翻訳することにもつながったんじゃないかなあと思います。

こんなふうに色々な領域を横断するお仕事をしていく時には、特に翻訳者としての動きがプロジェクトの潤滑油になることもしばしばです。エグゼキューションカンパニー米として、プロデューサー、プロマネとして、自分自身改めて、どんな立場の人たちとも間に立ち、しっかりと橋をかけれるように在りたいなと思ったお仕事でした。大阪展示も楽しみですッ🌷

今年も残すところあと1ヶ月ほどですね・・!
それでは!


株式会社 米 / kome inc.
https://komeinc.com/

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