気になる木のイメージ話

ついったで盛り上がっていた「気になる木」のイメージ小話です。個人的にどことなく不気味な曲だと思ってるので(好きなひと本当ごめん)、そんな雰囲気になればいいと思って殴り書きました。

登場人物は「僕」、そしてスペシャルサンクスの木 です。


──────────────────────

葉っぱの無い木を見た。
国道を一本それた、寂れた通り。しかしながらその葉っぱの無い木は不思議とその場に合っていた。
朝からずっと降り続けている雨は、いつ聞いても悲しい音をしている。まるで、今日は何かの日だと訴えかける様なその雨音に、僕は辟易していた。疲れた僕のたかが妄想。何かの日とか知ったこっちゃないし知るわけない。
それでもその雨音は途切れることなく僕に何かを訴えかける。

『今日はどこまで?』
家を出る前に聞かれたその言葉に、いつもの様に答えた。でも、いつもって、いつだ?いつからだろう、こんな日々。繰り返し繰り返し、もう、分からない。

変わらない日々にしがみついている僕にはもう、この中途半端な日常を変えようとするだけの気力が無い。この手はいつまでも、だらしない日常をかろうじて、離してないだけなんだ。

雨の季節が終わった頃にもう一度あの木のところに行ってみた。半分くらい枯れた木は変わらずその寂れた通りにあった。この木はきっと僕を待っていたに違いない。直感でそんなことを思う。
しばらくその木を見ていると、不意に声が聞こえた。あの日と同じ質問。分かるわけない。知ったこっちゃない。

「今日は何の日だっけ」

枯れ木に声をかけてみる。はたから見たら変人だ。自嘲してもう一度話しかける。ごめんね、君には今 構ってられないんだ。


──────────────────────




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?