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矯正後の後戻りってご存知ですか?(親知らずを抜かなかった場合)

後戻りってご存知ですか?

長い治療期間をクリアし、ようやく手に入れた理想の歯並び。
しかし、せっかくキレイになった歯並びも治療後のケアを怠ると、元に戻ってしまうことがあるんです。これを「後戻り」といいます。
後戻りをしてしまうと、頑張った治療をまたやり直さなくてはいけません。
そうならないためにも、どうして後戻りが起きてしまうのかをしっかり理解し、治療後のケアをすることが大事です。

どうして後戻りしちゃうの?

そもそもなんで後戻りしてしまうの?そう思われる方もいるはず。
キレイになった歯並びは、歯の位置を動かして整えたもの。矯正治療で歯を動かすときには、まず歯を支えている骨が溶けて(吸収されて)歯が移動し、動いた場所で新たに骨が形成され、固定化されます。しかし歯が元々あった場所に収まるように歯ぐきや骨は形成されていて、歯ぐきや骨は新しい状況に適応するのに時間がかかるため、歯の位置を元に戻そうとする力が働きます。

これが後戻りしてしまう原因です。

矯正治療が終了したばかりの歯の根の周囲の骨はまだ弱くて不安定なため、歯は普段よりもずっと動きやすい状態です。その状態で食事をしたり、以前の習慣のままの口やあごの動きを続けると、歯が後戻りしてしまいます。

でも、せっかく長期間頑張ってキレイになった歯並びが元に戻るなんて絶対に嫌ですよね?そこで、リテーナーという後戻り防止の装置を装着します。成人の方や舌の癖等がある方はずっとリテーナーを使用した方が良いです。

下の写真は上顎用のリテーナーです。
歯は奥歯から前歯に向かって力が加わるため、リテーナーを使用しないと位置も少しずつズレていきます。

歯ぎしりや歯の食いしばり癖など、口や舌、あごの動きの習慣も、歯並びに影響を与えると言われています。

適切な時期に親知らず(前から8番目の歯)を抜歯することが(特に小臼歯を抜かなかったケースでは)必要です。

マウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正を行ったケースです。この方の場合、矯正装置を外した後は、半年間、リテーナーを昼夜、半年後からは夜だけリテーナーを入れていましたが、一年後にはやめてしまわれました。

↓上の親知らず(写真の矢印の歯)が下に降りてきたら数年後に抜歯しましょうという事で年に一回くらいで来院されていました。

下の写真↓は二年後です。かなり降りてきました。すでにリテーナーは使用されていません。

↓更に二年後です。あと1年くらいしたら抜歯しましょうとお話ししていました。リテーナーは入れていませんでしたが、奥歯までキチンと動かす全体矯正歯科診療でしたので歯並びは良い状態をキープしていました。

そこから5年後に来院されました。↓ 上の親知らずが下降して7番目の歯に食い込んで押してドミノ倒しのように前歯まで倒れてしまいました。
こういうケースの場合は、親知らずを抜歯後に再度全体的に矯正が必要になります。

お顔が大きい方は別として、通常の小臼歯非抜歯で矯正行ったケースでは親知らずを4本とも適切な時期に抜かないとこういう残念な結果になってしまいます。

上の写真は残念な結果になってしまいました。こうならないためには、遅くとも下のレントゲン写真のタイミングで上の親知らずを抜歯することが大切だと思います。

↓別の方の写真です。すぐに上の一番奥の歯を抜いたら良いと思います。

保定装置(リテーナー)を装着して、後戻り防止を

歯が後戻りをおこさないように、保定期間中はリテーナーという動いた歯並びを定着させる装置を装着します。
「矯正終わったのに、また装置をつけるの?」と思う方もいるかもしれませんね。でも、保定装置を装着することはとても大切です。
保定装置にはワイヤー状のものや、透明に近いマウスピース型のものまであります。

下の写真は下顎用のリテーナーです。
歯は奥歯から前歯に向かって力が加わるため、噛み合わせや歯の高さが変わると、それに合わせて位置も少しずつズレていきます。


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