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退院2週間後の外来受診まで

らくらくフォン契約後は、家で1人で過ごす時は常に首から下げていた。ワンタッチダイヤルのボタンが3つある機種だが、全てのボタンを夫の携帯に繋がるように設定した。これくらい簡単な操作なら、痙攣が起きた時も自力でできるはず。

しかし、携帯を首から紐で下げるのって、正直重たい。特にガラケー型のらくらくフォンは、“軽量化”とか“薄型”とか、スマートフォンに重視される要素は一切満たされていない。

トイレに行く時も邪魔だし、手を洗うにも洗面台にガツガツぶつかるし、なんなら水がかかりそうになる。ガラケーとはいえ、防水と謳ってはいるがなるべく濡らしたくない。

夫が家にいる時はらくらくフォンを身につけてはいないが、夫の作業場は3階の部屋。私の日中の生活空間は2階のリビング。しかも、夫がサラリーマンの傍らやっている自営業は音楽関係で、部屋にこもって曲を流している。
夫の在宅時に別々の階で倒れても、らくらくフォンが無ければ気づいてもらえない。

そこで、家庭用のナースコールを購入することにした。私は5センチほどのボタンを首から下げる。受信機を3階のコンセントに設置して、ボタンを押すと受信機から音が鳴る。病院のナースコールのように話すことは出来ないが、異常が起きたことは確実に伝わる。

首から下げるボタンも、小さくて軽いからさほど邪魔ではない。これで家で各々好きなことをしていても安心できるようになった。


退院から1週間たった頃から、少しずつ家事をやるようになった。まずは洗濯から。
洗濯物を干すのはたった10分程度で済むが、この10分すら継続して立っていられない。気分が悪くなるのだ。まだ全然体力が戻っていないのがよく分かった。

バタンと倒れると怪我をするかもしれないから、倒れる前にすぐ椅子に座る。気分が戻ったらまた干す。そんなことを繰り返すとたちまち30分たってしまう。洗濯物を干すだけでここまで苦労するとは。

夫が同じ部屋にいる時間に炊事もした。火事を起こしたら大変だから、必ず気にしてもらいながら。ハヤシライスは、この体力でも作るのが簡単だった。
煮込んでいる間は座れるし、切るのは玉ねぎと牛肉だけだし。食べきれない分は、翌日のお昼ご飯にもなる。
ハヤシライスのルーを最初に作った人に感謝。

翌日、昼食に残りのハヤシライスを食べたが、ルーがご飯に対してかなり多かった。小さめの冷凍ご飯をチンして追加で食べたが、これがいけなかった。

満腹。胃もたれ。夕方になってもどうにも胃の調子が悪い。気持ちが悪い。吐き気がする。
夫が仕事から帰ってきて、一緒にお風呂に入ったあと、吐きそうだから夕食はまだ作らないで、と伝える。
トイレにこもってひたすら吐くのを待つが、1時間以上篭っても吐けない。諦めて、太田胃散を飲んで耐えよう、と思って冷蔵庫を開けた瞬間、胃が大きく動き始めた。なんとかトイレに駆け込み、やっと吐けた。お昼ご飯が全く消化されていなかった。

その後、夕食は食べずに痙攣止めの薬を飲んで寝た。とりあえず朝飲む指示の胃薬も一緒に飲んでおいた。

もう食べ過ぎはやめよう。と思った瞬間だった。

その後は体力の低下以外に目立った体調不良もなく、退院から2週間、外来受診の日を迎えた。

頭のCTを撮って、診察の順番を待った。診察室に呼ばれて、先程撮った頭の写真を見せてもらった。ほぼ左右差のない、綺麗な形をしていた。

退院2日前に撮った写真では、手術した右側が少し歪だったが、今日の写真はまったくそんなことは無かった。先生も、「若い人じゃなきゃ、こうは早く治らないよ」と褒めてくれた。

退院直後の頭痛のことと、1度だけ嘔吐した件を話して、この日の脳外科の診察は終わった。薬はそのまま継続、次回は1ヶ月後の受診予定。
職場の休職用の診断書と、かかりつけの婦人科宛の診断書、そして医療保険申請の診断書を記入してもらったから、会計まで2時間以上かかった。





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