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#5 素晴らしい本に出会ったのに、うまく紹介できません。【13歳からのアート思考】

「13歳からのアート思考/末永幸歩(ダイヤモンド社)」を読みました。

これまでの人生で、アート作品をみても何の感想も思いつかず、ピカソの作品って絵がヘタな人でも描けるのでは・・と思っていた私に、「アート鑑賞の仕方」や「有名な作品はなにが評価されているのか」を、腹落ちするまでしっかりと教えてくれる本でした。

非常に感動したので、なんとかみなさんに紹介したい・・と奮闘したのですが、一冊の本をひとつの記事にまとめるのは本当に難しく、勉強のためにライティングの本を読み始めたところで思いました。もう、上手く書けないことも含めて書いてしまおう、と。すみません。

本書は、各章が授業のコマ割のような構成になっています。章ごとに様々な作品が例として登場し、「素晴らしいアートとは何か?」とか「アートは忠実に描かれている方が優れているのか?」など、考えたこともなかったけれど興味津々なテーマについて、次々と話が展開されていきます。これがまた、どの話も非常にわかりやすく、章が終わる度にしっかりとその答えが自分の中に刻まれていきます。とにかくその構成が秀逸です。

一番印象的だったのは、ジャクソン・ポロックの「ナンバー1A」という作品を例に、アートが「なんらかのイメージを映し出すためのもの」と言う役割から解放されたという話の中に出てくる、子供たちが描く絵に関するエピソードです。

子供たちは、クレヨンがくるっと動くのがおもしろくて、たくさんの丸を描いているのかもしれない。強く紙に押し付けたときの感触が気持ちよくて、同じ場所を力いっぱい塗り続けているのかもしれない。そういう絵に、何を描いたの?とか、これはぶどう?とか、対象物があることを前提に問いかける大人たちの質問は、子供を困惑させてしまう、という話でした。

あぁ、だから子供たちは、クレヨンの先がグシャグシャになるまで色を塗るのか、と。決して、力加減がわからないわけではなくて、その感触を楽しんでいたのか、と。うまく言葉にできないのですが、私にとってそれはとても新しい発見で、同時に心がとても温かくなりました。次に子供たちの絵をみたら、どこが楽しかったのかを聞いてみよう、と思いました。

この本を読み終わってから、評論家のような立派なことはもちろん言えませんが、私にも少しずつ、感想が浮かんでくるようになりました。正解を考えてばかりで、自分の想いなんて全く思い浮かばないことがずっとコンプレックスだった私にとって、これは本当に嬉しいことでした。なので、みなさんにもぜひお勧めしたいと思いました。

アートが好きな方はもちろん、アート鑑賞ができるようになりたい方や、有名な作品が評価される理由を知りたい方、アート思考のイメージを掴みたい方に、ぜひ読んでいただきたいなと思います。(ただ、アート思考を仕事の中で実践するところまでは、この本だけではイメージが難しかったので、この辺りをメインに知りたい方には少し物足りないかも知れません・・ご留意ください)

少し自信がついた私は、来週、佐藤可士和展に行ってきます。作品を見終わったあとの自分を想像して、少しドキドキしています。

こまつまい

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