北斗に生きる。-第8話-
十二月二十三日、今の天皇がお生まれになったと、先生から聞かされた。
二十五日の二学期も終わる二、三日前だった。雪の校舎前に集合した。校長先生が皇太子様がお生まれになったと、長々お話をされた。
これはそのお祝いに下された有難いお菓子であると、紅白の饅頭を渡された。十二月末の樺太は日中でも零下二十度くらいである。本当はふかふかの赤子のホッペのような柔らかさと思ったが、運んでくるまでに凍ってしまい、頭にぶっつけると痛くなる固さであった。食べることの出来ないお菓子を大事に持ち帰った。