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創作大賞2024に詩集を応募。

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創作大賞2024(第3回)に応募した詩集『詩展2012 Shallow Blue in Orange』に関連する情報。
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詩集応募/公開中です!

創作大賞2024(第3回)に参加しています。 応募した詩集はこちらから! 関連情報をまとめたページはこちら!

パラノイア・セッション

ずっと 近づけば近づくほど 絡まって 離れれば離れるほど 解けてゆく そう、信じていた それが突然、真逆へと雪崩れこむ 近づけば近づくほど 解けて 離れれば離れるほど 絡まってゆく 深い窓を見つめながら ネオンの背中を撫で 懐かしい あたらしい 自分と出逢い 細い夜を越えながら 涅槃の吐息を重ね 知らなかった 知っていた あなたと出逢う 幸せとは何かと 考えられる幸せに包まれたまま この時の代償を 今日も世界のどこかで 誰かが 何かが 被っていること 忘れそうになる

だからこそ

声にならない だからこそ 叫んでいく 言葉にならない だからこそ 綴っていく 少し振り返ると とてもよく似ている 混沌としていたあの時代に 行きつ戻りつしていたあの転換点に お金があるかないか 夢があるかないか 有名であるかないか 偉いか偉くないか 性別とか年齢とか出身とか経歴とか 一番気にしているのは その時々の自分自身でしかない 声にならないこと 叫んでいく 言葉にならないこと 綴っていく 生きている土壌に構わず そこから  また  何かが・・・ そこから  

何才からでも研修中

胸に【 研修中 】の札 「 いらっしゃいませ 」と、深々としたお辞儀 ゆっくりと 「 一点、二点・・・ 」 声に出しながら ミスのないように丁寧に 傍らには先輩社員 さり気なく袋詰めのサポート 列に並ぶお客のあたたかな眼差しの中で 店内アナウンスは方言全開 「 一人暮らしを始めてすぐにアルバイトを始めました 」 そう言わんばかりに 何にも染まっていないイントネーション 商品の陳列はテキパキ 商品の質問をされるとドギマギ 迷ったり、焦ったり 泣いたり、笑ったり、行ったり

民は広場へ

しわ寄せは民に向かう 大誤算は最下層が被る 根本的な歪みが 少しでも露わになればあまりにも脆い 「文明」とはもはや呼べぬ文明 責任はなすりつけ合いの道具 いつからかそれが当たり前となり 原因は入り組みすぎて 解明は将来世代にまで持ち越し 世界平和を願いつつ 自国さえよければ闊歩 余裕がある時は 自然と上から施し目線 余裕がなくなれば 堂々と「構ってられるか!」宣言 地球は回る あきらめることなく 地球は回る 期待することもなく 行き場を失くした民は 怒りを持て余した

夜明けの食卓

きらびやかな回路 敷設する真夜中過ぎ 2LDK 奥深く 冷たい重低音 書き表せない感情を言葉にする矛盾 月明かりを蹴散らすかのようにライトアップ 暗闇知らず 闇夜知らず 哲学とは何なのかから始まる自己実現 寝転がるホームレス 悪気はないのに隅へ隅へ ありふれた朝が摩天楼に霞む 喰い散らかす残飯  遅ればせながら収集車 あふれ始めるスクランブル あの頃が今も続いていたなら 仮定は現実よりも鮮明 飛び出した黄色い太陽  広がる白いキャンバス 手馴れた手つきで揺らし 

74ビュー / 7スキ(5月15日-6月14日)

創作大賞2024(第3回)に参加している詩集、 現在、74ビュー・7スキ。 読んでくださった皆さん、ありがとうございます!

時事

世界は昨日もこんなに泣いていました 1人  リビングでコーヒーをすすりながら目を通す 相変わらずこんなにもひどいままです 良くも悪くも映像は気軽に教えてくれる 1人  リビングで蓄えていく 話のタネにでもなればと思いながら 世界は昨日も泣いていた そして今日もまた泣くのだろう 1人  リビングで物思う 世界の中でどう映ってるのだろう あんなにも泣いている場所があれば こんなにも笑っている場所がある あの場所から見れば 僕は笑っている場所にいるのだろう でも僕自身は

あの日から

「大丈夫ですか?」と聞かれ 「大丈夫ですよ」と答えるばかり 勢いで 喜怒哀楽を漏らして 記憶の海原に投げ出されるくらいなら 1つも残さず グッと呑み込み しまっておいた方がまだいい 何もかも 誰も彼も つけられる はずだった無数の句読点を置き去りにして・・・ いっそ あの日に物語という物語が      おわってくれていたら           楽になれたのかな・・・ 不謹慎? そうかもね。 でもね。 そう、思わずにはいられないんだよ・・・ 前を見つめる眼差しに 上を

ニ大政党制

いっぺん委ねてみましょう ダメもとでいってみましょう 少しは褒めてあげましょう  たまにはいいでしょう 褒めれば伸びるか縮む どちらにしても何らかの反応は測定されるでしょう 勇気を与えてやりましょう 調子に乗っているなら いっぺん鼻をへし折りましょう 最終的にはどちらのためにもなるでしょう いっぺんそっぽ向きましょう 積極的に示してみましょう 少しは冷たくしてあげましょう たまにはいいでしょう 冷たくすれば伸びるか縮む どちらにしても何らかの刺激は観測されるでしょ

知らずに済んだフクシマ

ミリシーベルト、ミリシーベルト、ミリシ・・・ 一生、知るはずのなかった言葉 ベクレル、ベクレル、ベクレル、ベクレル・・・ 一生、知らずに済んだはずの言葉 一大キャンペーンのように バラ撒かれた バラ撒かれた 津々浦々にバラ撒かれた 無知は黙認に等しく 無関心と何ら変わりないこと 痛切に実感した 福島がフクシマになってしまってようやく 数値に求められ 毒気を抜かれたリスクとコスト 一つの天秤に乗せられ 維持を前提とし 見え透いた古典原能を誇大踏襲 「今、福島原発はどうなっ

澄み切った青を見上げる午前 可能性の渦が西の彼方によぎる 単調な予告を告げる明日が東の彼方に漂う 変化の乏しい迷路の中で残り時間を地図をなくして消化 秋の風の中 飛ぶトンボに優しく語る どこに行きたいのかわからない もう明日にときめかない どうすればいいのかわからない 昨日の積み重ねを繰り返している 意味があるのかないのか2択ならば「ある」と答えるしかない日常 「ない」と答える権利はあると言われるが 言わずもがなと暗黙の了解を強要される 憧れは明確なのに方法論を掴みにい

北東の水族館

「キレイ」 そう指差す先にあるものを 同じように キレイと思えなくなって久しい 自分で精一杯 半径1メートルの事さえボンヤリ そんな時にも 作為のない共感で 「ほんとキレイだね」と 相槌を打っていた自分がちょっと懐かしい 帰りの地下鉄で 僕らの前に座っていた五十過ぎの男性 両手に荷物をもったおばあさんが来るなり さっと立ち上がって 無言の右手で席に座るよう促し 隣の車両へ歩いていった あんな風に 器用に スマートに これから僕は キミのために 誰かのために 何かを 真っ

君がいなきゃ

君がいなきゃ 醤油さしがどこにあるかわからない 君がいなきゃ 大好物の中トロもさほどおいしくない 君がいなきゃ 窓の花もそんなに綺麗と思えない 君がいなきゃ チャンネルの取り合いもできない 君がいなきゃ トイレ掃除のじゃんけんもできない 君がいなきゃ 「風呂、先入る?」って聞くこともできない 別れて はじめて ようやく  気づいた 君がいなきゃ 日々のすべては 平凡なまま 笑っちゃうよ 笑っちゃっていいよ どうやら 僕という僕らしさは 僕のものではなく 君の