句集「日々、これ日常なり孤独なり(三)」五十句
100 亡き父と同年代で夢喧嘩
101 個性的な私は普通になりたい
102 最果ての赤いレンガに花ひとつ
103 待ち侘びた友と囲炉裏で無頼酒
104 雨上がり路肩の澱も失せにけり
105 アイロンをかけて背筋も伸ばすやら
106 遠雷の木霊響けど庭閑か
107 足早にビルに向かうや丸の内
108 幸せか自分に問うて答えなし
109 木偶の坊ツールに溺れ恥をかき
110 老害の誹りを恐れ手出しせず
111 ガード下オリエンタルの万華鏡
112 新築にのっぺら棒が待ちぼうけ
113 秋口の台風慣れて空怖し
114 熊本の秋爽やかに城開き
115 畑から老人ホームや生えにけり
116 そうやって頬杖つくのポーズだろ
117 NASAいいね!そんな気分の朝カフェ
118 静寂な闇を突き刺す月明かり
119 我がスマホアプリだらけやおもちゃ箱
120 孤独が狂気を産み落とし育てる
121 呼びかけて無視されて終わる恋
122 YOUだけは見せたくねぇ心の痣
123 アニメからリアルヒーロー生まれけり
124 十月の真夏日秋を忘れさす
125 温暖化夏を引きずり秋を消す
126 富士の山冠雪観えぬ秋の空
127 君と僕そこにあるのは愛なのか
128 豆苗や二度の命を授けられ
129 母握るスパムお結び美味しいな
130 目に見えぬ自由という名の壁ひとつ
131 見えるもの見えないものどちらもあり
132 挨拶に意味とか意義とかないからね
133 寒いねと空に呟くボッチかな
134 赤子泣きイラつくわたし嫌いだな
135 拘束をするもされるも生地獄
136 体温が揺れ火照り咲き乱れ散る
137 灼熱のマラソン消えて北の国
138 サカナのぶ厚い音きき泣いた夜
139 NOスマホNOライフって本当なの
140 私には自分という名の闇がある
141 無題とは逆さに読めば台無しさ
142 進学は腐った縁を切るチャンス
143 秋雨にストーブ出すや煤掃除
144 正義とは守るべき人に従う
145 家族さえ選び直せる機会あり
146 誰もみな憂えるものは子の未来
147 自由を掴めし者は永遠なり
148 弱点に独り向き合う自習室
149 君がいて僕がいる朝あたらしい
150 時が止み陽だまり篭る子供部屋
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