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KULO/元DOKUMO BGメンバーインタビュー

かつてDOKUMO BOYS&GIRLSというチームがあった。今からおよそ6年前にそのチームはアパレルショップWEGOを背景にひっそりと立ち上がった。チーム名にちなんで世間では“読モ”と呼ばれ、旧来の読者モデルとごっちゃにされていたけど、今考えてみると“読モ”はSNSを武器に自分たちの夢を叶えていっていた。つまりインフルエンサーの先駆けだったのだ。そんなDOKUMO BOYS&GIRLSを作った僕が、インフルエンサーの先駆けだった彼ら彼女らが今、何をして、そしてSNSをどうやって使って夢を叶えていったかをインタビューしていきます。初回はDOKUMO BOYS&GIRLSのファッション担当のKULO。

丸本(以下:丸)「KULOがSNSをはじめたのはいつくらいだったの?」

KULO(以下:K)「僕が始めたのは今からだいたい7~8年前だったと思うんですけど、DecologとTwitterでした。」

丸「なんでやろうと思ったの?」

K「僕その頃18歳とかで、地元の三重県で電気工事の仕事をしてたんですよ。で、友達がやってたからはじめた感じですね。始めたというより、完全に遊びで登録してって流れでした。」

丸「最初は何つぶやいたの?」

K「なんだっけ? 確か本当に他愛もない日常のやつでした。テレビ見たよ~くらいの笑。」

丸「マジでつぶやきだったんだ笑。」

K「フォローしてたのも身内ばっかだったし、そんな感じですよ。Decologもそんな感じでした。で、しばらくした頃に僕、趣味がファッションだったので、TwitterやDecologで自分のコーデをアップするようにしました。特にどうしたいというよりも、単純に自分の好きなファッションを多くの人に見てもらいたいってだけでしたけど。」

丸「それでフォロワーが増えていった感じなの?」

K「いや、増え始めたキッカケは、僕、よく名古屋に遊びに行ってたんですけど、名古屋でgreed.っていうファッション団体があって、そこに入ってからチームのみんなと競い合ったり、Twitterで絡むようになってから徐々にフォロワーが増えていきました。」

#ファッションチームgreed ./さちゃん(現在某事務所勤務)が創立したファッションチーム。独特のファッション観が人気で、東京、大阪、名古屋、福岡にチームを持つ。また後にlittle greedという高校生を中心とした姉妹団体も設立された。

丸「どのくらい増えたの?」

K「Twitterで1000人くらいのフォロワーになりました。」

丸「そこから上京することになったのはどうしてなの?」

K「その後に、DOKUMO BOYS&GIRLSのサイトの中にCODE UP!っていうのがあって、一般の人がコーデをアップできるっていうものなんですけど、その中のコンテンツで優勝して、東京で丸本さんに撮影してもらえるっていうのがあって、それで一度東京に行きました。」

丸「あったね~そんなことが。まだ俺が自分で撮影もやってた頃だね。」

K「そうです。その時に上京を決めたわけではなかったんですけど、三重県で電気工事の仕事をしている自分に、いろいろ疑問が湧いてきちゃって。」

丸「疑問?」

K「電気工事の仕事が本当にやりたいことなのか? とか、自分の人生このままでいいんだろうか?とか。それでどんどん悪いスパイラルにハマっていって自分がダメになっていって。。。こんな自分じゃダメだって思って、もう振り切ってしまおうって。お金貯めて好きなことやろう。自分にとって好きなことってなんだろう? やっぱりファッションだなってなりました。」

#greed nagoya時代のKULO。平日は三重県で電気工事の仕事を、週末は名古屋でファッションを楽しんでいた。

丸「まあ、好きなことは一貫してたんだね。」

K「それで上京しようって思って、丸本さんに連絡して東京で仕事を紹介してもらったのがWEGO渋谷店での販売員の仕事でした。そこで半年間働いてから、丸本さんが忙しくなっていってアシスタント募集してたので、僕がやることになりました。」

丸「懐かしいなぁ。演者&裏方っていう特殊なポジションだね。」

K「東京に上京してからさらにフォロワーは増えたんですけど、それは東京でファッションが好きで同じ時期に上京してきた仲間がいっぱいいて、そいつらと毎日一緒にいて遊んだり競い合ったりしたからだと思います。」

丸「誰がいたっけ?」

K「しおうらじんと(現在ミュージシャン)、田中健太郎(現在アパレルスタッフ)とかですかね。」

丸「ファッションチームFACTのメンバーだね。」

#ファッションチームFACT /2012年に結成されたファッションチーム。横田ひかる(現在モデル)や現在ではYouTuber、インフルエンサー・マーケティング界隈の人間も多数在籍した。

K「そうです、ファッションチームFACTを作ったり、いろいろしてました。そこから雑誌とDOKUMO BOYS&GIRLSの合同オーディションで、念願だったBGメンバーになれたりしてどんどんフォロワーも増えていきました。」

丸「そこから俺のアシスタントを辞めて別の道に行くことになるんだけど、キッカケはなんだったんだろう?」

K「アシスタントとしてサイトの運営、イベントの企画、メンバーの管理などなどしてて、それはそれで楽しかったんですけど、あるファッションショーを見たことがキッカケで別の道に行こうと決めました。それはBGを辞めるとか、アシスタントを辞めるとかじゃなくて、他のBGメンバーと自分の達成したい場所が違うなって違和感を感じるようになって。」

丸「ファッションショー?」

K「WEGOの休憩所で会った190センチくらいの身長のロン毛の先輩に誘われて、東京美術館でやってた若手新人デザイナーのショーだったんです。それは今まで僕が見てきたような人に紐づいたファッションショーじゃなく、ブランドの服を魅せるためのファッションショーだったんですよ。カッコいい!と思って、俺もショーモデルになりたい!って思うようになりました。」

丸「アイドル的な読モではなく、ファッションっていう感じのショーモデルのほうがやりたいって思ったってことね。」

K「そうです。そこから僕はSNSにアップするものを意図的に少しづつ変えました。もともとコーデを上げてたんですけど、ヘアメイクやスタイリスト、デザイナーの友達を作って作品撮りをして、それをアップするようになりました。」

#当時アイドル化していた “読モ”は自撮りがメインだったが、ショーモデルを目指すにあたって自分のSNSをブランディング化。プロのヘアメイク、スタイリスト、カメラマンと作った作品をSNSに載せることが増えた。

丸「そういう友達はどうやって作ったの?」

K「とにかく積極的に自分からSNSでもなんでも連絡を取ったり、人のつながりで紹介してもらったりしてました。僕、お金がなくて当時夜勤もしてたので、ほぼ寝ずに動いていました。その頃はInstagramもやってたんですけど、そうすることで自分が表現したい自分のファッション(作品撮り)がSNS上に上がっていくので、名刺代わりじゃないですけど、そういった知り合いが増えていきました。」

丸「今はその人のSNSを見て趣味趣向を理解することが多いから、自分が他人からどう見られるかというのは、SNSのブランディングによる部分は大きいよね。」

K「それは大きいです。あと、例えばカメラマンさんにツイッターで作品撮りしましょうって誘うときも、フォロワーが他の人に比べると多かったので、それが信頼になるというか、引き受けてくれることが多かったです。」

丸「SNSを使ってブランディングと信頼度も得ていったってことだね。」

K「そうですね。それでショーモデルを目指す目標として、1年以内に東京コレクションに出たいっていうのがまずありました。」

丸「確か俺のアシスタントしてるときから東コレで歩いてたよね?」

K「目標を掲げて、いろんな人にそれを宣言したり、一個一個の仕事を大切にすることでそれは叶いました。そこから3年連続で東コレでモデルとして歩かせてもらって、さらに目標を持ちました。それは海外のショーで歩きたいってことでした。」

#念願の東京コレクション 。ブランドは「Black by VANQISH」。

丸「それでWEGOを辞めて、より海外でショーをやってるブランドで働きたいってことだったよね。」

K「そうです。それで人の紹介もあって、ミハラヤスヒロで販売員として働かせてもらうことになりました。そこでもいろんな人と知り合うことになって。」

丸「いろんなタイプの人がいるけど、KULOはSNSで出会うだけじゃなくて、オフラインでも行動していろんな人と出会って、SNSはブランディングとしてあるってことが多いのかもね。」

K「今思い返してみると三重にいた頃からどんどん環境も変わったのに不思議と不安にならなかったのは、自分が本当にやりたいことを追求していったからだと思います。自分が本当にやりたくて挑戦できるなら不安は何もないですね。」

丸「海外でショーに出るっていう夢に挑戦してどうだった?」

K「2017年にその夢を叶えることができました。ロンドンコレクションでミハラヤスヒロのモデルとして歩かせていただきました。」

丸「そのときはどんな心境?」

#モデルとして最高の夢が叶ったロンドンコレクション 。180センチのKULOが小柄に見えるほど、周りのモデルの身長が高い

K「それまでミハラヤスヒロのショーは日本だと出させてもらってたんですけど、どうしてもロンドンで歩きたいって思って、これが最後だと決めて社長に直談判でロンドンのショーのオーディションを受けさせてほしいと話ました。オーディションのための交通費も実費で払うと決めて言いました。」

丸「オーディションもロンドンであるんだ?」

K「そうです。そこでなんとか受けさせてもらえて、無事合格できて歩くことができました。」

丸「歩いたときはどんなこと考えてたの?」

K「正直、無心でした笑。」

丸「でもさ、三重県で電気工事をやっていた人間がその7年後にロンドンで一流ブランドのファッションショーに出てるんだよ。ずいぶん遠くまで来たよね笑。」

K「そうですね~。遠くまで来た。自分の人生がそんなことになるなんて、遊びでTwitter始めた日には思いもしなかったですね。」

丸「その後の目標はできた?」

K「モデルをやりたいっていう夢は、ロンドンコレクションで歩くという最高の形で叶ったので、次の目標が見つからなくてミハラヤスヒロも退社しました。」

丸「見つからないまま、退社したんだ。」

K「なんか環境を変える必要があるって思ったんです。そこにいたら、ロンドンコレクション以上の夢は持てないだろうなって思いました。」

丸「次の夢は持てた?」

K「考える時間が長かったので、そこでいろいろ自分について考えてみたんですけど、僕がファッションを好きになった根本って、単純に服が好きだってことと、自分を認めてもらいたかったからっていう2つだったんです。オシャレをして理想の自分になることで、人から認められて、それがただうれしかったっていうのもあります。」

丸「それがいまの活動なんだね。」

K「人に認めてもらうために演者として前に出る意味では、映像に挑戦したくて俳優のお仕事も最近やっています。まだまだですけど、JR東海のスマートEXのCMに出させてもらったり。もっともっといい作品に出たいです。」

丸「服が好きっていうところでは?」

K「Salix.というブランドのディレクターとして、今立ち上げて5か月くらいですかね。」

#Salix ./「 瞬間的に感じた強い刺激は、いつまでも続き思いは激しく動く。」1990年代の日本。“今”の視点から見るあの時代は刺激的で新鮮さを感じる。2018 S/Sは当時のファッション・音楽・ドラマ・アニメ・ゲーム等、様々なカルチャーにフューチャーし、今回のコレクションを展開。

丸「調子はいいの?」

K「この前、ラフォーレ原宿でポップアップショップやらせてもらったんですけど、自分が思ってるよりすごい人が来てくれてうれしかったです。」

丸「最後にSNSに対して、どういう思いがある?」

K「ひと言でいうと、僕の人生を変えてくれたもの。だからこそ、これからも自分の好きを発信し続ける場所としてあるし、自分自身を表す場所だと思ってます。」

KULO/InstagramTwitter

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