【技術士二次試験対策#2】令和5年版国土交通白書(2/3)

前回は令和5年版国土交通白書の冒頭部の「デジタル化」について、大きく5つの目標があるというのまとめました。

  1.  暮らしを支える生活サービス提供機能の維持・向上

  2.  競争力の確保に向けた新たな付加価値・イノベーションの創出

  3.  担い手不足の解消に資する生産性向上・働き方改革の促進

  4.  災害の激甚化・頻発化に対応する防災・減災対策の高度化

  5.  脱炭素社会の実現に向けたエネルギー利用の効率化

今回は次の「デジタル実装の現在地と今後への期待」についてまとめていきたいと思います。例年よりもデジタル化の施策が色々記載されていますが、冒頭の国の指針を理解するには目を通すのは必須の内容です。
https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/pdfindex.html

デジタル化の目的

新たな付加価値を創出、深刻化する担い手不足を克服、気候変動対策として防災対策や脱炭素化等を加速化するのが目的
(5つの目標と同じ)

国が目指しているのは、デジタル田園都市国家構想

デジタル田園都市国家構想
⇒デジタル化により「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指す政府の重要な柱。また、IoT、AI、ビッグデータ、ディープラーニングなど様々な技術の発展を利用して推進する。

例えばの施策として

・AIの活用により移動サービスの多様化
・AIの活用によるインフラメンテナンスの高度化・効率化
・ロボットの活用による生産性向上・働き方改革
・ドローンの活用による生産性向上・新たな輸配送の実現
など!

国土交通省のデジタル化施策の方向性について、分野ごとに整理し、今後の施策展開についての記述

「 防災分野のデジタル化施策」「まちづくり分野のデジタル化施策」「交通分野のデジタル化施策」「物流分野のデジタル化施策」「インフラ分野のデジタル化施策」「デジタル化を支える横断的な取組み」の6つの分野で整理

1.防災分野のデジタル化施策

【問題】
近年、災害が激甚化・頻発化しており、今後、気候変動に伴い災害リスクが更に高まっていくことが懸念される
【課題】
ハード・ソフト一体となった防災・減災対策により、国民を守る
【解決策】
これまでも、堤防やダム等の整備、災害時の輸送機関の確保などハード面に加え、気象情報の高度化、災害予測や被災状況等の情報収集手段の確保、避難訓練・計画の高度化といったソフト面の対策に取り組んできた。これから地域の災害リスクに応じた対応やきめ細かな防災対策・防災情報の提供・避難支援など、防災分野で国民一人ひとりの状況に応じた人に優しいデジタル化を一層推進していく。
【解決策】
(デジタル技術を活用した流域治水の推進)
(技術開発や対策効果の見える化を実現するデジタルツインの整備)
(デジタル技術による迅速な被災状況把握)
(デジタル技術を活用した防災気象情報の高度化)
(人工衛星を活用した土砂災害の早期把握への取組み)

2. まちづくり分野のデジタル化施策

【問題】
都市や地域が様々な人々のライフスタイルや価値観を包摂しながら多様な選択肢を提供するとともに、人々の多様性が相互に作用して新たな価値を生み出すためのプラットフォームとしての役割を果たしていく必要がある
【課題】
デジタル化によりこれまでのプロセスの効率化や利便性向上等を図るのみならず、従来のまちづくりの仕組みそのものを変革し、新たな価値創出や課題解決を実現すること、つまりデジタル・トランスフォーメーションが必要【解決策】
具体的には、デジタル技術を用いた都市空間再編、エリアマネジメントの高度化、データを活用したオープンイノベーション創出、デジタル・インフラである3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」を推進していく。
【具体的な解決策】
スマートシティ
3D都市モデルの活用等によるまちづくりの高度化に向けた取組み
新技術の活用等による新サービスの創出
IoT技術等の活用による住生活の質の向上に向けた取組み

3. 交通分野のデジタル化施策

【問題】
増加する交通需要に対応するため、効率的な交通システムの構築を進めてきたが、地方部では人口減少等を背景として、交通サービスの維持・確保が困難となる地域が増加し、多くの事業者が厳しい状況
【課題】
法制度や予算・税制措置などあらゆる政策ツールを活用し、交通DX・GXや地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへの「リ・デザイン」(再構築)を推進。【解決策】
多様な主体の連携・協働の下、あらゆる施策を総動員して次世代型の交通システムへの転換。国土交通省が所管する交通インフラ・サービスは多岐にわたり、分野横断的・組織横断的な取組みを推進
【具体的な解決策】
MaaS(マース:Mobilityasaservice)
(自動車の自動運転)
(鉄道車両の自動運転)

4.物流分野のデジタル化施策

【問題】
2024年問題でドライバーの労働時間の制限による担い手不足とCNの対応
【課題】
生産性の向上が課題。DX化、機械化、自動化などデジタル化による物流DXをいかに推進するか
【解決策】
働き方改革の実現、デジタル化による物流業務の生産性向上、物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化
【具体的な解決策】
ドローン物流による輸配送の効率化に向けた取組み
港湾物流等におけるデジタル化に向けた取組み

5.インフラ分野のデジタル化施策

【問題】
就業者の高齢化
【課題】
若年層の担い手確保への取組みを一層強化
【解決策】
国民の安全・安心を守るとともに、より高度で便利な行政サービスを提供すべく、関係者との連携・協調によりインフラ分野のデジタル化を推進。
「インフラの作り方」の変革、「インフラの使い方」の変革、「データの活かし方」の変革を横断的に進めていく。
「インフラの作り方」の変革とは、インフラ建設現場の生産性、安全性を向上させ、手続等の効率化を実現
「インフラの使い方」の変革とは、インフラ利用申請のオンライン化に加え、デジタル技術を駆使して、安全で持続可能なインフラ管理・運用を実現「データの活かし方」の変革は、「インフラまわりのデータ」を誰にでもわかりやすい情報形式で提供するとともに、オープンに提供すること
【具体的な解決策】
建設現場の生産性向上の取組み(「i-Construction」(ICT施工))
(建設機械施工の自動化・自律化)
(BIM/CIM)
道路システムのデジタル・トランスフォーメーション

6.デジタル化を支える横断的な取組み

【問題】
上記のようなことが横断的に取り組めていない
【課題】
デジタル技術の飛躍的な進展を活用し、事業改革・業務改善を通じて国土交通行政の諸課題に対応するべく「国土交通DX」を推進
【解決策】
行政自らがデジタル化に取り組み、デジタル・トランスフォーメーションを牽引することが重要。行政サービスの利用者の利便性向上や行政運営の簡素化及び効率化を推進。担い手となる人材の育成及び国土交通省所管分野のサイバーセキュリティの更なる強化を推進
【具体的な解決策】
①新たな国土形成計画
②国土交通分野の行政手続のデジタル化に向けた取組み
③データ・プラットフォームの整備に向けた取組み
④デジタル社会形成を支える各種取組み

まとめてみましたが、なかなか盛りだくさんでどうしても記述すると薄い内容になります。しかし、建設部門とは関わりの大きいところなので、一読はする必要があるので、皆さんも是非自分なりにまとめてください。
次回は第II部国土交通行政の動向から建設部門と関連深そうなところをピックアップしてキーワードだけ抜粋していこうと思います。

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