サブスクリプションの問題点
1、サブスクリプョンの急速な拡大
近年、私たちの生活にますます浸透してきているサブスクリプション。従来はSaaSを中心としたインターネットサービスが代表的で、例えばAdobe Systems社やMicrosoft社などのIT企業の独壇場ともいえる状況でした。しかし、現在ではアパレルや食べ放題など非IT分野にも急速な広がりを見せています。
もっとも、日本にサブスクリプションが紹介されたのはそれほど古い話ではありません。というのも、2015年がNetflixとApple Musicが日本に上陸した年であり、この年を日本の「サブスクリプション元年」とする見方が一般的だからです。この記事を執筆している時点が2020年であることを考えると、わずかな期間でサービスが拡大していったことをご理解いただけるかと思います。
2、サブスクリプション拡大の背景
では、なぜこれほど急速にサブスクリプションが普及していったのでしょうか。これを理解するためには、日本経済の流れを背景として消費者のマインドがどのように変化したかを知る必要があります。
日本では、高度経済成長からバブル景気まで右肩上がりの経済成長を記録しました。この時期は大量生産・大量消費が世の中の主流であり、物を所有することがステータスでした。しかし、1990年代初頭のバブル崩壊をきっかけにして状況は変化します。その後、日本は経済成長が停滞する時代に入りました。このような時代背景のもと、人々の価値観は物の所有から離れていきます。特に2010年以降はこの変化が顕著です。例えば、マイホームを購入せず賃貸住宅に住む、車はカーシェアリングを利用するといったところは身近な変化といえます。物を購入することなく、サービスを利用したいという志向が大きな流れになりつつあり、これに応えるものがサブスクリプションだったというわけです。
3、サブスクリプションの抱える問題点
時代の潮流に合ったサービスであるものの、サブスクリプションにも問題点はあり、ここでは次の2点を指摘します。
第一に、一部の顧客がサービスに見切りをつけて離脱してしまうと、雪崩のように他の顧客にも波及してしまうということです。サブスクリプションでは離脱率が重要な指標となり、従来のように製品を販売するまでが仕事というスタンスは通用しません。しかも、一度離脱した顧客はよほどのことがない限り戻らず、常に顧客をサービスに引き留めておく企業努力が求められます。第二に、サービス開始に費やした費用を回収するまでに時間がかかり、資金的なゆとりが求められることです。これは大きな障害となるものであり、現状でも資金面で余裕がある大企業や、資金調達に成功したスタートアップ企業がサブスクリプション導入の先駆けとなっていることから推察されるところです。
以上の2点は問題点として指摘できるところであり、各企業が今後サブスクリプションを導入していく場合にはクリアすべき問題となるはずです。
4、まとめ
サブスクリプションは急速な広がりを見せており、時代にマッチしたサービスといえます。この流れは今後ますます強まっていくと予想されます。しかし、時流に合ったサービスだからといって問題点がないわけではなく、当然ながらデメリットも包含していることは再認識する必要がああります。サブスクリプションを導入したから、そのサー
ビスが流行るという単純な図式ではないと肝に銘ずるべきです。
今後サブスクリプションの導入を検討する企業の増加が予想されます。担当者の方におかれては十分に問題点を把握したうえで慎重に判断していくことが求められます。
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