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チームではたらく #1

読む力,書く力,プレゼンのスキルのような個人の能力に加えて,チームではたらくためにはどのような力が必要でしょうか。私が大学生のみなさんに持っていることをおすすめしたい力は「初対面の人と共同作業する関係を作る力」です。
私が勤務していた大学には,その当時,面識のない他学部の人を混ぜて10名ほどのグループを作り,その場で与えられたお題で議論をする,という必修のイベントがありました。「初対面の人としゃべるのは苦手」「気まずい」という内気な学生にはかなり酷な代物です。今回の話は,そのイベントの準備として学生に話していた内容になります。

高校までの生活での共同作業はクラスメートだったり部活のメンバーだったり委員会活動だったりと,同じ学校の仲間とある程度の期間を通して行うものが多かったと思います。交流を深めて,「仲良く」なって,協力する。長い時間,苦楽を共にして何かに打ち込む,それはとても貴重な体験です。

ですが,これだけでチームではたらけるようになるか,というと少し難しいのではないかと思います。社会に出てはたらく時は,今までより多くの人,年代や組織,立場の違う人と,お互いのことをよく知らないまま共同作業することが多くなるからです。その時に,いちいち「仲良くならなきゃ」とか「嫌われないように」とか気にしていたら疲れるばかりで本題に入れず,十分な成果を得られないのです。割り切った人間関係で,共通の目的のもとで作業をすれば,お互いに疲れずに成果を上げることができます。もちろん,長く一緒のチームではたらいていればお互いに気心が知れてくるでしょうが,最初から気心が知れることを目標にする必要はないのです。初対面の状況でこちらの内面を知られる必要も,相手の内面を知る必要もありません。

初対面の人との共同作業,というと大仰な感じがしますが,例えばコンビニで買い物をする時の精算,初めての美容院で髪を切ってもらう,歯科衛生士さんに口の清掃をしてもらう,これらはすべてよく知らない人との共同作業です。人見知りさんでもどれかはやったことがあると思います。これらが人見知りさんでもこなせるのは,「店員」「お客」という明確な立場があるおかげで適切な距離感を保ちやすいからです。学生同士のイベントなら,「たまたま同じ大学に通う学生」というだけでそれ以上でもそれ以下でもないですから,その距離感でいれば良いです。

距離感♾️からちょうど良い距離感に近づく方法でもっとも手っ取り早いのが「あいさつ」です。語弊のある言い方をすると,「こんにちは,おじゃまします」くらいの一言二言で相手に自分の情報を全く与えずに「敵じゃないですよ〜」ということを伝えられるとても便利なことばがあいさつです。中にはあいさつをするかどうか,どちらからどのタイミングでするかにこだわりを持って考えている方もいると思いますが,私はひょっとしたら,相手に聞こえる必要もないかもしれない,と思っています。あいさつをしたら,その声は相手には届かなくても絶対自分には聞こえているので,自分で自分にここにいるのは仲間というスイッチを入れることができるのではないかと。もちろん相手に届いて,相手からもあいさつが返ってくれば完璧ですね。余談ですが,朝のあいさつも声に出すと身体にスイッチが入ります。周辺機器のテストをしている感じ。家族がいる方は家族に,1人の方も人形とか,写真とか,テレビやラジオとか,相手はなんでもいいのでまあまあ大きめに声に出して「おはよう」と言ってみるのをおすすめします。

ある程度大きい声で,笑顔であいさつするというのは,技術というか習慣なので気にしていれば誰でも(小学生でも)できます。小中学校ではあいさつあいさつと本当に口うるさく,もとい熱心に指導されています。それは,あいさつが一生モノの技術だからだと思います。キツい運動部出身の学生は,それはそれはしっかりしたあいさつをします。ほんと,財産だと思います。

次回,この続きで共同作業をする時の立ち回り方について少しお話しできたらと思います。

#大学初年次
#初対面克服
#あいさつ
#共同作業



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