涙を流せるように生きたいよな(小山の戯言)

先日、彼女の実家で夜ご飯をいただいた。
久々の人様が作ったご飯だったから、なんだか温かみを感じて感動した。
具沢山の美味しい豚汁だった。
「ここ綺麗にしたの」
そう言って見せてくれた棚の上には犬の写真が飾ってあった。

一昨年、彼女の実家で飼っていた犬が亡くなった。
その時は彼女と一緒に実家へお邪魔して線香を焚いた。冷たくなった家族を前に、静かに手を合わせた。
お母さんは涙を流しながら「来てくれてありがとね」と言った。

犬にしては長い人生だったようで、すっかり目もよぼよぼになっていたけれど、やっぱり可愛かった。
うちにも犬が2匹いる。いつか終わりは来るんだよなぁと覚悟した瞬間だった。

お母さんの悲しい表情を見て、これは乗り越えられるのだろうか、と要らぬ心配をしてしまった。自分に置き換えても耐えられない悲しみだから、とてもじゃないけどかける言葉が見つからなかった。

あれから一年、また実家にお邪魔したら綺麗にされた棚の上に家族だった犬の写真が何枚か額縁に入れられて、その近くには様々な置物で彩られていた。 そして、涙目で笑いながら棚を綺麗にしたことを喋っていた。
とても素敵だなと思った。

その日の帰りがけにお父さんから礼服をいただいた。サイズを間違えてしまったらしい。ちゃんとした礼服を持っていなかったから嬉しかった。 感謝。うちの母親に会った時「身内がもうそろかもしれない」みたいな話を聞いていた。「礼服を買わないとな」と思っていたから本当にタイミングが良かった。

もう若いとも言えない歳になってきている。10年とか経ったらもう「会う」ことよりも「別れ」が増えていくのかもしれない。その時にちゃんと笑って涙を流せるように生きていたいよな、とか思った。

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