未来へ向けた過去の家具
先日、ついにサイドボードを買いました。
デンマークのヴィンテージの品です。オレンジがかったオーク材の木目がお気に入りです。私は学生の頃からヴィンテージの家具に憧れがありました。
インテリアストリートとも呼ばれる東京の目黒通り沿いのインテリアショップで、学生だった私にはとても手の届かないお値段のヴィンテージ家具を、飽かず眺めていたものです。
なぜ、ヴィンテージか。カッコつけて言うなら物語を感じるからかもしれません。
数十年という歳月を超えて、なお道具としての価値を失わないどころか、かえって魅力が増すように思われる家具は、さぞかし持ち主によって大切にされてきたにちがいないのです。
私は古書も好きです。とかく古いものに惹かれるのは、前の持ち主の気配を感じるからでしょう。その人の手に品が渡り、手放されたそれが私のもとへ届くまでの物語たるや、想像するだけで楽しいではありませんか。
デンマークの方は初任給で椅子を買うと聞きます。そして、家具をたいせつに扱うそうです。それは次の世代に引き継ぐためというお話もあります。
物語は、語られる物です。語り手と、聞き手がいます。物語は神話や戯曲などのかたちをとり、前の世代から次の世代へ、次の世代からさらにその次の世代へと、たいへん永い年月をかけて受け継がれてきました。
私は次の世代にどんなお話を物語ることができるでしょうか。なんて大きいお話は、ちょっと難しくて私には分かりません。
けれど、今日までサイドボードをたいせつに扱っていたデンマークの方のように、私もこれを宝物として大事に扱いたいと思います。
物をたいせつにすることは、明日をたいせつにするということなのでしょうね。
暑い日が続きます。まずはみなさま、ご自身のお身体をたいせつに。
ではまた!
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