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時間を節約しない日々

手紙には可愛らしい字で、こう書いてあります。

いろいろおてつだいしてくれて
ありがとうございます。
わたくしもかんしゃいたします。
どうぞよろしくおねがいいたします。

かつて私は地域の子どもに勉強を教えるボランティアをしておりまして、そのときの主催の方の幼い娘さんからもらった手紙です。

一字一字、時間をかけて書いてくれたのだと思うと、心が温まります。手紙を読み返す時間は、かけがえのないものです。

忙しい毎日が続くと、つい時間を節約したくなります。ご飯を食べる時間を惜しんでスマホを見てみたり、日々のお部屋の掃除をサボってみたり、寝る時間がもったいなくて夜更かししてみたり。

photo by Komaki Kosuke

そんなとき、子どもたちからもらった手紙を思い出します。一字一字、彼らが習いたての字を大切に書いたように、一日一日を私も大切に過ごそうと思い直します。

そのために、ずっと放置してしまっていた Instagram のアカウントを、暮らしの記録として活用してみようと先日思い立ちました。

気負わず毎日暮らしの写真を撮っています。

photo by Komaki Kosuke

毎朝飲むコーヒーを撮ってみたり。

photo by Komaki Kosuke

窓から差す柔らかい朝日を撮ってみたり。

photo by Komaki Kosuke

お気に入りの椅子を撮ってみたり。

ひとつひとつの日常を、初めて出会うもののように、写真に収めていきます。日々を見つめ直すのに、カメラはぴったりだなと思います。

意味のない時間ではあるのですが、その意味のなさに惹かれます。時間を節約する向きと反対にあるような気がします。

ミヒャエル・エンデの『モモ』には、こんな一節があります。

けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。

ミヒャエル・エンデ「モモ」岩波文庫

なるほど、子どもたちの書く手紙の字は、たくましく太いわけです! たっぷりとした意味のない時間を楽しもうではありませんか。

photo by Komaki Kosuke

お香を焚く時間があってもいいでしょう。

photo by Komaki Kosuke

夜、暗い部屋で瞑想をしてもいいかもしれません。

photo by Komaki Kosuke

朝、ユーカリを眠い目で見つめてもよいですね。

photo by Komaki Kosuke

好みのアートを眺めるのも悪くありません。

photo by Komaki Kosuke

お正月飾りだったドライの南天を窓辺に飾ってもいいのです。

photo by Komaki Kosuke

好きな色合いの食器を愛でながら、うどんを食べるのもよい時間です。

photo by Komaki Kosuke

葉水が輝くアルテシマを観賞するひとときも大切です。

時間を節約することの反対は、決して時間を浪費することではありません。何もしない日をこわがる必要って、ないのかもしれません。

光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのとおなじように、人間には時間を感じとるために心というものがある。

ミヒャエル・エンデ「モモ」岩波文庫

一字一字書く心を大切に暮らしましょう。

では、また!




敬具

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