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大阪市の神社と狛犬 ⑮浪速区 ③廣田神社~アカエ神使の神社の狛犬~

大阪市浪速区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。浪速区は上町台地の西側、大阪市のほぼ中央に位置します。区の面積は4.39㎢で、大阪市で最も狭い行政区です。区名は、王仁が詠んだと伝えられる古歌「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」からとられました。
浪速区は、長い歴史をもつ「大阪木津卸売市場」や「でんでんタウン」など市内でも有数の商業地域として発展してきました。また、大阪のシンボルといわれる「通天閣」がある新世界など、庶民の町として親しまれています。

浪速区には、神社庁に加盟する神社が4社ありますが、これら以外にも少なくとも5社が確認できます。
今回は南海高野線今宮戎駅から北へ徒歩5分ほどの地に鎮座する廣田神社を訪れます。廣田神社は、もと四天王寺の鎮守で今宮村の産土神です。

「浪花百景」廣田社


廣田神社

■所在地 〒556-0004 大阪市浪速区日本橋西2-4-14
■主祭神 撞賢木厳之御魂天疎向津媛命つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと
■由緒  社伝によると、神功皇后の三韓征伐の帰途、海路を難波に向かっていた時、皇后の船が海中を回り回って進まなかったので、占いをたてたところ、摂津国廣田の杜にまつれという神託があったのが、廣田神社の起源とされる。兵庫県西宮市にも同名の神社がある。
主祭神の撞賢木厳之御魂天疎向津媛命つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみことは、天照大神の荒魂である。

狛犬1

■奉献年 昭和四十七年十二月吉日(1972)
■作者  不明 
■材質  花崗岩
■設置  境内中央・注連柱手前

狛犬・注連柱・拝殿

正面の鳥居を潜って境内に進むと、左右に、大きく「奉」「献」と彫られた基壇に坐す狛犬がいる。正面には注連柱があり、中央に茅の輪がある。右手に手水舎、奥が拝殿である。

昭和47年奉献の狛犬(阿形)
昭和47年奉献の狛犬(吽形)
昭和47年奉献の狛犬(阿形)
昭和47年奉献の狛犬(吽形)

古い狛犬は残念ながら見当たらなかったが、昭和47年奉献の岡崎型狛犬が、境内のとてもいい位置に安置されている。


神使「アカエ」

狛犬は、正確には「獅子・狛犬」で、一対で神様の守護獣だが、神社には神様のお使い=神使しんしが祀られていることがある。稲荷神社の狐は誰もが知る稲荷神の神使だ。
この廣田神社には、とても珍しい神使がある。アカエ(アカエイ)である。

「アカエ」の絵馬
拝殿絵馬
アカエの話

当社の祭神の一柱に「賢彦名命さかひこなのみこと」という神様がおられる。この神はアカエ(エイ)に乗り訪れる智恵の神様だという。神社付近は、かつては海が迫っていて、近くの木津卸売市場は、魚市場でもあった。アカエは美味で漢方薬にもなることから、このアカエを断つことによって、痔疾や難病、悪疫を断つことを祈願したようだ。
なお、拝殿のアカエの絵馬の奉納者「新世界 和田米治郎」という人は、先の狛犬の奉献者でもある。また、新世界稲荷神社の狐像もこの人の奉納だった。


廣田神社境内

〈赤土稲荷神社〉

赤土稲荷神社正面

廣田神社の北側に、赤土稲荷神社がある。廣田神社は南向きに社殿が建てられているが、こちらは西向きである。隣接する別の神社のように見えるが、廣田神社の摂社で、境内はつながっている。

赤土稲荷神社参道
赤土稲荷神社内

稲荷神社は全国に3万社あると言われ、我が国の神社の中ではもっとも多い。地名を冠するもの以外に、様々な社名がある。赤土稲荷神社には赤土稲荷大神が祀られているそうだが、その名の由来は何だろうか。


〈古い石造物〉

石造狛犬は昭和の新しいものであったが、境内には廣田神社の歴史を感じさせる石造物がいくつかあった。石灯籠は塀際に多数並べられていた。

「明和五年戊子」(1768)の石灯籠
「享和元辛酉年」(1801)の百度廻り石



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