見出し画像

大阪市の神社と狛犬 ➍此花区⑥産土神社~拝殿陰の文政狛犬~

大阪市此花区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。淀川のすぐ南側には5つの区がありますが、此花区はもっとも海に近い西側に位置します。
此花区には、神社が6社あります。(地図参照)
住吉神社という名称は2社だけですが、この地は古来海との関係が深く、朝日神明社以外の5社には住吉大神が祀られています。
今回は6社目の産土神社です。JRゆめ咲線の安治川口駅から北へ約500m、島屋交差点の南側に鎮座しています。

産土神社

■鎮座地 〒554-0024 大阪市此花区島屋3-13-28
■主祭神 天照皇大神・住吉大神・宇迦之御魂神
■由緒  宝暦12年(1762)、この地を開墾した大坂の島屋(浅田市兵衛)が、正蓮寺川左岸の一角に新田の鎮守神として創建したのが始まりである。

狛犬1

■奉献年 文政三年辰二月吉日卯日建之(1820)
■石工  不明
■材質  砂岩
■設置  拝殿横

産土神社拝殿
拝殿横 文政3年奉献の浪速狛犬(阿形)
拝殿横 文政3年奉献の浪速狛犬(吽形)
拝殿横 文政3年奉献の浪速狛犬(阿形の尾と台座銘)
拝殿横 文政3年奉献の浪速狛犬(吽形台座の紀年銘)

拝殿前には狛犬はいないが、拝殿の横を、奥の本殿の方に向かうと、社殿に向かって置かれている狛犬と出会える。吽形の台座に「文政三年辰二月吉日卯日建之」銘のある浪速狛犬だ。文政3年は1820年。
阿形の台座には「摂州西成郡恩貴島註人庄兵衛」と書かれているようだ。異体字が混じっているので、読みにくい。
産土神社は、昭和9年の室戸台風で社殿が損失したため、正蓮寺川南岸の旧地より現在地に遷座している。この狛犬もいっしょに来たのだろう。いつから現在の場所に隠れるように置かれたのかは不明である。
浪速狛犬最盛期の姿をよくとどめていて、和泉砂岩の肌もきめ細かくて美しいが、ところどころ損傷が目立つ。

狛犬2

■奉献年 昭和十三年戊寅五月吉日(1938)
■石工  不明
■材質  花崗岩
■設置  正面鳥居内側

正面鳥居内側の花崗岩製狛犬(阿形)
正面鳥居内側の花崗岩製狛犬(吽形)

正面鳥居内側に安置されている昭和狛犬。台座に「昭和十三年戊寅五月吉日」(1938)と彫られている。伝統的な浪速狛犬の風貌を残した花崗岩製狛犬で、太い脚や足先が安定感を出している。
写真を撮るときだけマスクをずらしたが、吽形は工事中の会館を覆うシートの内側に隠れていて、思うような写真が撮れないのが残念。

楠根稲荷神社
産土神社の境内には、いくつかの摂社・末社が祀られているが、楠根稲荷神社もその中の一つ。室戸台風で現在地への移転を余儀なくされる前、正蓮寺川南岸に鎮座していたころのゆかりの楠根である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?