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アジア紀行~インドネシア・バリ島男3人漫遊編⑦~

前回の続きです

火葬始まる

モンキーフォレストへの階段をのぼり、人混みを分けて行くと、前方は煙が立ちこめている。いよいよ火葬が始まったようだ。
パーンと竹がはじける音がする。ずらりと並んだ黒牛や赤獅子の棺の端の方から火をつけている。すでに3分の1ぐらいの棺が燃え始めている。火はガスバーナーで点火されているようだ。たくさんの棺が一斉に炎を上げて燃えるので、近寄ると熱くてたまらない。灰が舞い上がり、髪や衣服に舞い落ちる。

炎の競演がしばらくしてしずまると、黒焦げになった牛が煙をあげて惨めな姿をさらけ出す。崩れ落ちるものもある。


火葬が終わり・・・

燃え尽きた牛は火葬台から下ろされ、体内に納められていた遺骨や遺灰は家族たちによって丁寧に集められて壺に入れられる。集められた遺灰は、この後、海に流されることになる。

燃え尽きた棺の周辺には、同じように燃えた供え物の残骸がある。中には貨幣など使えそうなものもある。たぶんさらに下層の人たちがそのようなものを拾い集めている。

燃え尽きた黒牛や赤獅子の棺を片付けたあと、竹を組んだ台の上に、白布や椰子の葉で織った布で包んだものが置かれる。いかにも豪華な布で包まれたものもある。おそらく遺骨や遺骨とともに海に戻す供え物が入っているのだろう。包みには常緑の葉のついた木の枝が差し込まれている。

豚の丸焼きがあった。これもお供えであろうか。

いつの間にか夕刻になっている。火葬式自体はこの辺りで終了なのだろう。しかし遺族や村人にとっては、まだまだ葬礼の儀式の続きがある。
バリ島には「山には神々が棲み、海には悪霊が棲む」という宇宙観がある。その海に死者の遺灰は流されるが、魂は山へと還っていく。バリ・ヒンドゥーの総本山であるブサキ寺院は、霊峰アグン山の中腹にある。死者の霊は、このブサキ寺院に祀られることによって、やっと葬儀が終了するのだ。

モンキーフォレストの火葬場から、少しずつ人が減っていく。外国人の姿はもうあまりない。髪やからだは、汗とほこりと灰まみれだ。クブクに戻って早くシャワーを浴びたい。

宿に帰り着くと、YとM君はもう戻っていた。彼らは2時半頃に帰ったという。クライマックスの火葬は見ずじまいということだ。残念なこと!

夜は影武者で夕食。『バリの宗教について』という手製の冊子を購入する。

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komajin
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