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大阪市の神社と狛犬 ⑮浪速区 ⑪浪速神社(坐摩神社境外末社)~石組み基壇に坐す狛犬~

大阪市浪速区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。浪速区は上町台地の西側、大阪市のほぼ中央に位置します。区の面積は4.39㎢で、大阪市で最も狭い行政区です。区名は、王仁が詠んだと伝えられる古歌「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」からとられました。
浪速区は、長い歴史をもつ「大阪木津卸売市場」や「でんでんタウン」など市内でも有数の商業地域として発展してきました。また、大阪のシンボルといわれる「通天閣」がある新世界など、庶民の町として親しまれています。

浪速区には、神社庁に加盟する神社が4社ありますが、これら以外にも少なくとも5社が確認できます。
浪速神社は、南海汐見橋線木津川駅から北東へ400mほどの住宅地に鎮座します。すぐ西側には阪神高速道路堺線が走っています。当社は中央区の坐摩いかすり神社の境外末社です。年に数回行われる大祭の日には賑わうようですが、普段は訪れる人も少なく、ひっそりと荒れた感じがします。


浪速神社(坐摩神社境外末社)

■所在地 〒556-0026 大阪市浪速区浪速西3-10-23
■主祭神 坐摩大神、猿田彦大神
■由緒  大阪市中央区に鎮座する坐摩いかすり神社は、もとは旧淀川河口近くの南渡辺の地にあった。大坂城築城に際して坐摩神社は移転を強いられ、南渡辺の人たちは船場の西の現在地に移ったが、北渡辺の人たちの移転先はなかなか決まらなかった。元禄年間になってようやく現在の浪速区に落ち着き、一部の人たちはこの地で白木神社を創設して氏神として祀った。一方この地に移住した人たちは坐摩神社の神を勧請し、境外末社として浪速神社を建立した。

鷺の神紋と「元官幣中社坐摩神社末社  浪速神社」の文字
拝殿と狛犬

狛犬

■奉献年 昭和三十一年八月二十八日
■作者  不明 
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

拝殿前狛犬(阿形)
拝殿前狛犬(吽形)

大阪では珍しく石組みの基壇の上に坐している。昭和31年(1956)奉献の花崗岩製の岡崎型狛犬である。

第二台座にも、わざとひび割れのような意匠が凝らされている。注連縄は正月にでも掛けられたものであろうか。社務所の扉や窓は閉じられ、狛犬の基壇の周囲には雑草が生えている。参拝に訪れる人の姿もなく、真夏の日の下で、静かに坐摩の大神をお守りしている。


浪速神社境内

浪速神社境内

浪速神社の社殿は西向きに建てられている。南北に参道が通じ、それぞれに大鳥居がある。社殿の南側に、境内社が二社ある。白辰大神と白金大神をお祀りしている。

白辰大神
白金大神

境内の西側は浪速西公園で、よくわからない祠が二つ並び、その横に昭和20年(1945)3月13日の大阪大空襲による犠牲者の供養塔がある。



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