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大阪市の神社と狛犬 ⑭大正区 ③八阪神社(下之宮)~精悍な青銅狛犬~

大阪市大正区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。大正区は大阪市の南西部に位置します。西側は大阪湾に面し、区の三方を木津川、尻無川、岩崎運河に囲まれた島状の地形となっています。江戸時代には泉尾新田や恩加島新田などの新田が開発され、明治時代以降も埋め立てが行われて、大正末期頃に現在の区域がほぼ確定しました。河川や水路が多かったために、船による水上交通が発達しましたが、現在でも、大阪市内に残る8ヶ所の渡船のうち7ヶ所が大正区にあります。
また、大正初期以来沖縄からの移住者が多かった地域で、沖縄料理や沖縄食材を扱う店が多く、「リトル沖縄」とも呼ばれています。

大正区には、神社が6社あります。
今回の八阪神社は、JR大阪環状線大正駅から南に約1km、南海汐見橋線木津川駅から西に約700mほどの地に鎮座します。前回の八坂神社(上之宮)から南に600mほど所で、こちらは「下之宮」と呼ばれています。

八阪神社(下之宮)

■所在地 〒551-0002 大阪市大正区三軒家東6-14-12
■主祭神 素盞嗚命、應神天皇、仁徳天皇、菅原道真公
■由緒  八坂神社(上之宮)と同じく、勘助島(浪速区大国町)や三軒家(大正区)の開発を行った中村勘助(木津勘助)が、正保4年(1647)に、京都の八坂神社の分霊を勧請したのが当社の始まりである。「三軒家」の名前の由来は、延宝3年(1675)刊の『蘆分船』という書物に、「此所いにしへは、島崎にて、人の家、まだ定まらず、纔に三軒の民屋を、たてならべしゆへ」とある。


狛犬1

■奉献年 昭和八年六月吉日(1933)
■作者  不明 
■材質  青銅製
■設置  拝殿前

八阪神社  拝殿と青銅製狛犬
拝殿前青銅狛犬
拝殿前青銅狛犬
拝殿前青銅狛犬
拝殿前青銅狛犬(阿形)
拝殿前青銅狛犬(吽形)

拝殿前に安置されているのは、昭和8年(1933)奉献の青銅製狛犬である。作者(鋳物師)がだれかは不明だが、中型ながら威厳を感じる相貌をしている。巻毛の先の突起、吽形の角、尻尾の立ち上がった毛房など、漲る力を表現する。胸には鈴のついた飾り帯をつける。


八阪神社境内

ライオン像

ライオン像

社殿に向かって左側、玉垣の内側に、大きな岩に坐すライオン像がある。前肢の足先を損傷している。どのような由来があってここに置かれているのかわからない。

首のとれた狐像

稲荷社
首のとれた狐像

社殿に向かって左奥に稲荷社がある。その手前の庭に、首のとれた狐像があった。よく見ると、狐像の頭部は砂岩だが、その後方の胴部は花崗岩である。斜めの切り口も方向が異なるから、別々のものだ。

蛇の手水鉢

蛇の手水鉢
蛇の手水鉢

蛇がとぐろを巻いている。上には水をためる場所があり、水抜きの穴も開いている。おそらく手水鉢だろう。

社務所はあったが人の気配がなく、訪れる人もいなかったが、ご神木の大楠に守られた境内には静かな時間が流れていた。

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