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大阪市の神社と狛犬 ➍此花区⑤朝日神明社~二科会彫刻家の狛犬~

大阪市此花区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。淀川のすぐ南側には5つの区がありますが、此花区はもっとも海に近い西側に位置します。
此花区には、神社が6社があります。(地図参照)
住吉神社という名称は2社だけですが、この地は古来海との関係が深く、朝日神明社以外の5社には住吉大神が祀られています。
その朝日神明社は、阪神電車千鳥橋駅から徒歩で20分ほどの住宅街にあります。

朝日神明社

■鎮座地 〒554-0022 大阪市此花区春日出中1-6-21
■主祭神 天照皇大神・倭比売命
■由緒  明治40年(1907)に、現中央区の朝日神明宮と此花区の皇大神社を合祀して、社号を朝日神明社とした。そのとき、此花区の春日神社と西区の安喜良神社を合祀している。
朝日神明宮は、浪速三神明(朝日神明宮・日中神明宮・夕日神明宮)の一つに数えられ、平貞盛が父の仇・平将門を討つために、天慶年間(938~947)に天照皇大神を奉祀し、社殿を営んで戦勝祈願を行ったことが始まりだと伝えられる。
一方、皇大神社は、天保6年(1835)に伊勢神宮より御神霊を勧請して神祠を建てて、此花区川岸町の新田の鎮守社として創建された。

狛犬1

■奉献年 昭和六十二年丁卯四月(1987)
■石工  二科会会友 石田栄一
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

朝日神明社 拝殿と狛犬
拝殿前の狛犬(阿形)
拝殿前の狛犬(吽形)

昭和62年(1987)奉献の花崗岩製狛犬。台座に「二科会会友 石田栄一作 狛犬一対」と彫られている。石工ではなく彫刻家の作品であろうか。しかし特に芸術的な特徴があるわけではなく、当時のいわゆる「岡崎現代型」を踏襲していると言える。

神明社

朝日神明社は、もとは古い歴史を持つ神社だが、合祀、移転の末に昭和20年の大阪大空襲で社殿が全焼し、現在の拝殿は昭和40年(1965)に再建したものである。狛犬はさらにそれより新しい。
そもそも神明社とは、天照大御神を主祭神とし、伊勢神宮内宮を総本社とする神社のことをいう。その名称も、神明神社、神明宮、皇大神社、天祖神社などさまざまで、通称として「お伊勢さん」と呼ばれる。
由緒のところで、「朝日神明宮は、浪速三神明(朝日神明宮・日中神明宮・夕日神明宮)の一つ」と紹介したが、残り二つのうち「日中神明宮」は現在、大阪市大正区にあり、南向きに建てられている。元は京都にあったが、江戸時代初期に大坂に移転した。「夕日神明宮」は、現在大阪曽根崎の露天神社の境内社として、西向きに建てられている。

なお、朝日神明社正面の鳥居はシンプルな「神明鳥居」で、傾斜のない丸柱に笠木を渡してある。コンクリート製。境内末社に、稲荷社と春日社がある。


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