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アジア紀行~ベトナム・サパ⑥~

無情の雨

今日は8月3日。ベトナムの旅に出て、9日目になる。
ベトナム北部に来たのは今回が初めて。どうせなら中国との国境に近い最北端まで行ってみよう、そんな思いでサパ(Sa Pa)にやって来た。ベトナムは当然「異国」だが、その中でもとりわけ「異国」を感じさせてくれたのが、山岳少数民族の黒モン族の人との出会いだった。ハノイに戻る前に、もう一度カットカット村に行ってみたい。

ホテルのレストランで遅い朝食をすませる。部屋に戻ると同時に雨音が聞こえ出した。窓から外を眺めると、空から垂直に雨が落ちてくる。

遠くに目をやっても、谷の向こうの山々は雨に煙ってまったく見えない。

この天候では外出はしにくい。とりあえず部屋で本でも読んで、天候の回復を待つしかなさそうだ。
これまでいろんな所を旅してきたが、一日中雨に降り込められたという経験は記憶にない。町中なら、少々の雨でも出かけることができる。
そういえば、サパに来る前に滞在していたハノイでは、毎日のように雨が降っていた。ハノイでは、7月と8月の降水量が特に多いそうだ。ここサパは山岳地帯で、雨はどちらかといえば少ない方だが、それでも6月から8月頃の降水量は多めである。
一昨日・昨日と山歩きをしたから、今日は休息の日なのかもしれない。窓の外に目をやりながら、ベッドに座って本を読む。本といっても気楽な小説だ。このとき読んでいたのは、クライブ・カッスラーの『絶境の秘密寺院に急行せよ!』(上・下)。カッスラーの作品は海洋冒険小説が多いが、これはミャンマーが舞台。
時折窓の外を見るが、空が少し明るくなることもあっても、雨が止む気配はない。上巻の途中から読み始めて、結局下巻の最後まで読んでしまった。

時計を見ると、いつの間にか午後5時を過ぎている。外はまだ明るいが、もうすぐ日が暮れるだろう。このまま一日中ホテルに籠もっているのも面白くないので、とりあえず何か食べることを目的に、町に出よう。

雨の町へ

ホテルを出て緩い坂道を下る。まだ小雨が降っている。道端で店を開いている黒モン族の人たちは、傘の上に大きなビニールをかぶせた中に小さく座って、刺繍か何かをしているようだ。こんな雨の中では、お客も来ないだろう。

通りにある一軒の店に入る。名前は忘れたけれど、こぎれいな店だった。夕食の時間にはまだ早いせいか、客はほとんどいない。

ちょっと高いけれど、11万ドンのセットメニューを注文する。高いといっても、日本円に換算すれば500円ぐらいだけど・・・。
まず最初は、サパ・スープと春巻。

次に、グリル・ド・ダックとご飯山盛り!

そして、パンケーキ。

この日は、まともに昼ご飯を食べてなかったが、この夕食は食べきれなかった。味はまずまず。
店を出て、再び雨の中をホテルに戻る。

ほとんど誰とも話をせず、わびしい気分の一日が過ぎていく。一人旅をしていると、こんな日もあるものだ。これもまた、よしとしよう。

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