アジア紀行~インドネシア・バリ島男3人漫遊編⑩~
888の朝
日本を発って今日で半月。3回目の日曜日になる。ベッドの中で、目が覚めながら半分眠っているような、宙に浮いたような心地よさを楽しんでいると、Yが「早く朝ご飯を食べに行こう」と急かしに来た。時計を見ると、もう8時になる。今日は8月8日なので、「888だ」と、変なことに感心する。
YとMくんはバナナパンケーキを注文するが、自分はエッグ・ジャッフルにする。卵を挟んだホットサンドだ。
食べ終わったころ、KUBUKUのオーナーのワヤンが、「アグン・ライさんに電話しようか」と言ってくれる。昨日プリアタンの自宅を訪れたけれど留守だったのを知って、気を利かせてくれたようだ。
電話がつながったが、日本語はほとんど通じない。午後2時にこのクブクで会う約束をする。
YとMくんは、近くのホテルのスイミングプールに出かける。Yは小さい頃からスイミングスクールに通っていたので、水泳は得意だ。
私は一人でレストランからの景色を見ながら、のんびり読書を楽しむ。
ウブド王宮
約束の2時よりも30分も早く、アグンさんがやって来た。バリ人の時間は伸びたり縮んだりする。アグンさんに会うのは半年ぶりだ。プリアタンで大きな葬儀があって、とても忙しかったようだ。しばらく話をしたあと、また会う約束をして別れる。
昨日はプリ・ルキサン美術館まで出かけたが、さらにその先のネカ美術館には行けなかったので、遅い昼食をすませた後、3人で出発する。もう3時だ。
昨夜レゴンダンスを観たウブド王宮では、小さな女の子たちがダンスの練習をしていた。みんな熱心でかわいい。この中から将来きっとすばらしいダンサーが生まれるのだろう。
ネカ美術館
ウブド王宮で思いがけず時間をとってしまったので、間もなく4時になる。ネカまで歩いて行くと、観る時間があるだろうか。5時閉館のはずだから、急ぎ足になる。横を通る車から声を掛けられる。片道Rp.3000。汗をかいて坂道を行くことを考えると安いものだ。帰りも待っているというので、往復Rp.6000で手を打つ。運転手の若者は、デンパサールの日本語学校で1年間勉強したらしく、うまいとは言えないが、十分通じる日本語を話す。我々が1年間インドネシア語を習ったとしても、この若者のようにはしゃべれないだろう。彼らの語学は生活に直結しているのだ。
ネカ美術館に到着。入館料はRp.1000。安い。日本円で50円ほど。ここに来るのは2回目だ。時間があまりないので、急ぎ足で回る。建物がいくつもあるので、見応えは十分。伝統的なバリ絵画から現在インドネシア絵画まで、幅広い。
最後の展示館には、「Our Hotel in Bali」という写真集の展示があった。まだ観光化される前の昔のバリ島のモノクロ写真で、興味深いバリの風俗が写し出されている。これは民族学的にも貴重な資料だろう。写真集があれば買いたかったが、売っていなかった。
バリの一日はまだ終わらない
午後5時過ぎ。思ったより早く宿に戻ってきた。熱帯の太陽がモンキーフォレストの木々の上にある。間もなく森の向こうに隠れてしまうだろう。半年前は、太陽はもっと南にあって、水田の向こうの椰子の木の彼方に沈んでいた。
MくんとYは疲れを知らず、今からまたプールに行くという。KUBUKUのいちばん奥のコテージに泊まっている東京から来たハナさんという女性もいっしょに行くそうだ。熱帯といえども、このウブドは日が暮れると気温が下がってくるというのに。
みんなが出かけたので、一人でジャラン・ジャラン。モンキーフォレスト通りを歩く。画廊「ADI PANA」に行ってみる。友人のパルミタさんは不在で、お兄さんのワルダナさんがいた。
もう太陽が隠れて、暗くなってきたので、KUBUKUに引き返す。
Mくんたちが戻って来たのは8時ごろだった。みんな夕食がまだなので、ハナさんも誘って「影武者」に行くが、休みだった。
少し手前に「UBUD RAYA」という小さな老舗の食堂がある。お粥などの日本食もあって、ホッとする場所だ。今夜はここで食事をする。
食事が終わってKUBUKUに戻るのかと思ったら、若い人たちの胃袋は、まだ別の快楽を欲している。甘い物が食べたい!
ということで、「ベベ・ブンギル(Bebek Bengil)」でココナッツ・クリームパイを食べる。お腹がびっくりしているぞ!
サポートありがとうございます。 いただいたサポートは狛犬研究など、クリエイターとしての活動費として使わせていただきます。