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餃子ミステリー

宅配で冷凍餃子が届いた。
宛名は妻の名前で、届いた先は娘の家だった。
同じマンションの同じ階に住んでいるので、この間違いはたまにあった。
届いたのは「二代目TATSU」という東京にある店の餃子で、ネットで注文しても1ヶ月待ちという人気商品らしい。

餃子1

同封されていた納品書を見ると、3月9日注文で、届いたのが3月21日。
それでも半月近くかかっている。
確かに人気の餃子らしい。
商品名は「肉汁アンビリーバボー餃子」で、40個入りで4,680円もする。
送料を入れて、合計5,934円と記されている。
食べ慣れた王将の餃子は、一皿6個入りで242円だから、それに比べるとかなり高価な餃子だ。

ところで、問題は送り主である。
納品書には、「ご請求先住所」と「お届け先住所」の欄があって、どちらにも娘の家の住所と妻の名前が書かれている。
支払いは「PayPay残高払い」とあって、すでに支払い済みのようだ。
妻がネット販売の餃子を注文したのだろうか?
しかし妻はこの餃子を購入した覚えはないと言うし、PayPayとも無縁である。
一瞬、「我が妻惚けたり」と思ったが、口には出さなかった。

餃子は好きだが、誰から送られてきたのかわからないミステリアス冷凍餃子だから、開封しにくい。
とりあえず納品書に書かれている東京の「二代目TATSU」に電話して確かめてみる。
しかし、Yahoo!ショッピングで扱われたものなので、店では購入した人の名前は分からないという。
「調べてみます」という先方の応えだけを聞いて、電話を切った。
妻は心当たりに電話をしたりメールをしたりするが、すべてハズレである。

ところが、届いた日の翌日、ひとつヒットした。
妻の兄の娘、すなわち姪Mのところにも同じ餃子が届いていたことがわかったのだ。
送り主は、妻と姪Mにつながりのある人物。
かなり絞れてきた。
妻の兄夫婦ではないことはすでにわかっている。
別の所に住む妻の弟たちでもなかった。
残るは、姪Mの弟、妻の甥のKぐらいだが、可能性は薄い。

と思っていたら、2日後の夜、事件は一気に解決した。
「餃子送りました」
短いメールが妻の携帯に届いた。
差出人は甥のK。
その直後、「二代目TATSU」から電話が入る。
「送り主がわかりました。Kさんです」
請求先に妻の名前があったことについては、「プリンターの調子がよくなかった」という意味不明の返答。
それでもとりあえず、今回の「餃子ミステリー」は一件落着となった。
あと数日この事件が解決しなかったら、冷凍庫に眠る「肉汁アンビリーバボー餃子」は、妻の手でゴミ箱行きになるというアンビリーバボーな結末になっていただろう。

それにしても、K君。もうちょっと早く連絡してよ。

明日か明後日は、餃子かな?

餃子2


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