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大阪市の神社と狛犬 ❿城東区⑦諏訪神社~川島三平の狛犬~

大阪市城東区の地図と神社

大阪市には、現在24の行政区があります。城東区は、その名前が示すように大阪城の東に位置し、東西に寝屋川と第2寝屋川が流れ、南北に城北川や平野川が通じるなど、河川が多いのが特徴です。区内には住宅地が多く、人口密度は大阪24行政区の中の1位です。

城東区には神社が9社あります。神社庁に登録された8社と、天王田の八坂神社です。中浜の東本稲荷神社は小社で狛犬もいないので、このnoteではそれ以外の8社について紹介したいと思います。
今回は7社目の諏訪神社です。JR学研都市線・おおさか東線「放出」駅の南、第2寝屋川を渡って約600mのところに鎮座します。

諏訪神社

■所在地 〒536-0021 大阪市城東区諏訪2-15-16
■主祭神 建御中方刀美命たけみなかたとみのみこと八坂刀売命やさかとめのみこと 
■由緒  長野県の諏訪大社の分社。創建の年代は不明であるが、境内にある古い石灯籠に「承和じょうわ三年四月寄進」(836)と刻まれていることから、平安時代に創建されたと考えられている。

承和三年銘があるという石灯籠

境内には、延喜元年(901)に菅原道真が筑紫へ左遷される時、当社に立ち寄り休憩をとった際に座ったとされる菅公腰掛石が祀られている。村人は、菅公の身の上に同情して、菅公が通った道を「左遷道」と改め、のちに「左専道」として近年まで用いられた。

菅公の腰掛石
諏訪神社 拝殿と狛犬

狛犬1

■奉献年 昭和四十二年七月
■石工  不明
■材質  花崗岩
■設置  拝殿手前の参道

拝殿手前の参道の昭和狛犬(阿)
拝殿手前の参道の昭和狛犬(吽)

正面の大鳥居から参道を進むと、正面に拝殿が見える。その手前の参道左右に1対の石造狛犬が安置されている。花崗岩製の比較的新しい狛犬である。台座に「昭和四十二年七月」という紀年銘と、奉献者の名前が記されていた。

狛犬2

■奉献年 大正十四年四月 大阪市編入記念
■石工  大阪八軒家 石匠 川島三平
■材質  花崗岩
■設置  拝殿前

諏訪神社 拝殿前の狛犬
拝殿前・川島三平の狛犬(阿形)
拝殿前・川島三平の狛犬(阿形)
拝殿前・川島三平の狛犬(吽形)
拝殿前・川島三平の狛犬(吽形)

大阪八軒家の石匠「川島三平」の狛犬である。川島三平の狛犬は、西淀川区姫島神社の大正9年(1920)、生野区弥栄神社の大正14年(1925)などが確認されている。
この狛犬も弥栄神社と同じ大正14年の奉納で、基壇に「大阪市編入記念」と彫られている。現在の城東区は、町村制が施行された明治22年(1889)には東成郡に含まれていた。その後、大正14年(1925)に大阪市に編入され、新設された東成区となる。川島三平の狛犬は、それを記念して奉納されたものである。
狛犬は、前肢を斜めに突っ張るように出し、大きな巻き毛やボリュームのある流れ毛に特徴がある。

参考までに、同年に奉納された弥栄神社の狛犬の写真と並べてみよう。

左 弥栄神社・右 諏訪神社(どちらも大正14年奉納の川島三平の狛犬)


五稜郭の戦いの遺物

明治初年、榎本武揚率いる箱館五稜郭の旧幕府軍を討ち破った新政府軍の大砲が、諏訪神社の境内にあった。奉納者は、拝殿前の川島三平狛犬と同じく「大西為吉」という人物。


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