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アジア紀行~インドネシア・幻の巨大チョウを求めて⑥~

セラム島ワハイ(Wahai)に到着

今回は、セラム島の北部にあるワハイに到着したところから始まります。

サカから4時間。ワハイの桟橋近くに停泊したスピードボートから降り、足下を洗う温かい水の中を歩いて、我々3人とガイドのジャニスは、再び島に上陸した。
案内されて訪れたのは、中国人が経営するホテルだった。ホテルの名前は、「Sinar Indah」。日本語で言うと「美しい光」という意味だ。

チェックインしたのは午後3時。3人とも赤く日焼けして皮膚が痛い。ジャニスが中国人の主人に明日からのことを尋ねているが、どうも簡単ではなさそうだ。話が長引いている。
とにかく部屋に荷物を置いて、熱くなった体に水を浴びる。

4時頃、ジャニスと2人で電話局に行き、「アンボン島~バリ島」の飛行機のチケットがとれたか、ツーリストに聞いてもらうが、返事は「still RQ」。思ったとおり、まだリクエスト中だ。明日向こうからホテルに電話をよこすとのことだった。

Yが泳ぎたいというので、港へ行く。M君と2人で海の中に入ろうとするが、とても泳ぎたくなるような場所ではない。変な日本人が海に入っていると思ったのか、大勢見物人が集まってくる。腕と足が日焼けして赤く、胴体が白い日本人が、海辺の泥の上を一歩ずつ危なげに歩いている姿は、だれが見ても滑稽だろう。そのうち見物人の1人が、「ここで泳ぐと体を刺す魚がいるから、早く上がって来い」と言う。Yはそれでも泳ぎたそうだが、しぶしぶ戻ってきた。こんな所で泳がなくても、もっと水のきれいな場所があるはずだ。
ホテルに帰ると、遅いランチが用意されていた。みんな疲れ果てて、食欲がない。ジャニスひとりは別だ。

夕方、村の警察署へ行く。マヌセラ(Manusela)国立公園に入るための許可をもらうためである。パスポート・ナンバーや住所などを知らせる。パスポートのコピーが必要だと言われるが、肝心のコピー機が故障していて使えない。ガイドのジャニスが何か交渉しているが、よくわからない。
いったいこんな準備で、国立公園に入って巨大チョウを見つけることなどできるのだろうか。

警察から戻ると、ジャニスはすぐにベッドで横になってしまった。我々もぐったりして、眠ってしまう。
8時頃、ホテルの主人がジャニスを呼びに来た。アンボンから電話がかかってきているようだ。午後にツーリストに電話をした飛行機の件で、アンボン~デンパサール(バリ)のチケットがとれたとのこと。朗報だ。これでバリ島で1週間過ごせることが確定した。

遅い夕食をとる。M君の日焼けは相当ひどい。部屋から食事の場所まで移動するのもつらそうだ。早々に食事をすませて、水で冷やしにいく。ホテルの主人が、塗り薬を持ってきてくれる。

Yが部屋の前の廊下で、スケッチをしている。彼は美術系志望だ。みんなが集まって来る。セラム島に来て思うのは、人々が人懐っこいというか、何かと興味を持って寄ってくるということだ。
ホテルの奥さんが、娘さんの顔を描けと要求している。Yは困って、最初は遠慮していたが、ついに描かされる。あまり似てないぞ!

ジャニスが、給料はいくらかと尋ねてくる。彼がオフィスから毎月もらうのは、40,000Rpだという。2,000円? 本当だろうか?
このツアーが終わったら、お礼をしようと思う。

セラム島ワハイの夜は静かだ。明日は目的の巨大チョウ「トリバネアゲハ」と出会えるのだろうか。


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