表情がある文章って楽しい
なにか刺激的で楽しいことはないだろうか。
ほんの数ヶ月前までは身も心も疲れきっていた。
思い切って仕事を辞めてみた。
思い切ってたくさん寝てみた。
思い切ってだらしなくすごしてみた。
「まぁ、なんとかなるさ。」
いくら考えてもわからない先のことを考えるのはやめた。
とにかく頑張った自分を休ませよう。
不安ではなかったかというと嘘になるけれど、とにかく今できることを少しずつやることにした。
案外早く次の仕事が見つかった。
「これが働くということか」
「働くということは辛いことばかりではないんだ」
「自分は一人で働いているわけではないんだ」
と色々なことに気付かされた。
仕事が終わったら帰る。
お休みの日は一日自由だ。
当たり前のようで当たり前ではない日常を取り戻した今、やりたいことがわんさか溢れてきた。
やりたいことをやるとか、思いっきり遊ぶとか、とにかく何かをするには体力を使うのだ。
さて、なにをしようか。
この時間を無駄にはしたくない。
せっかくなので今までできなかったことを書き出すことにした。
●お金の勉強
●部屋の掃除
●読書
●身だしなみに時間をかける
●家族と話す
●ネットで文章をかいてみる
とりあえず全部やってみた。
お金のことに少し詳しくなったし、部屋は綺麗になった。本を読むことで書いた人の世界に浸れて時間を忘れて夢中になれたし、自分に対して時間をかけられることが嬉しかった。
そして、家族と会話をする時間が増えた。
特に母親は私と話したかったようで楽しそうにしていた。
口にはあまり出さないようにしていたけど私のことを心配していたようで
「明日も早いしそろそろ寝るね」といいながらそのまま1時間喋り続けていた。
ゆっくりと家族と話をしておやつを食べて
何でもないようなことをいいながら笑って
早めの夕食を家族揃って食べる。
ちょっとしたことで人は幸せになれるんだなって改めて感じた。
幸せのハードルをもう少し下げてもいいのかもしれない。
そんな日々が続いた後、勇気を出してやってみることにした。
「ネットで文章を書く」ということを。
もとから文章を書くことに興味はあった。ただ、「ネットにはたくさんすごい文章を書く人がいるし、自分には難しいんじゃないか。」と文章を書くことをためらっていた。
読むのが好きとはいえ書くのはとても大変。
タイトルだけでも1時間くらい悩んだ。
肝心の文章も初めの一行でつまづいた。
自分でも何を書きたいのかわからなくなった。
でも、とっても楽しかった。
「うまくいかないから辞めよう」とは思わなかった。
「だからこそ、どうしたらいいのか考えられるじゃないか。」と楽しくなった。
自分が書いた文章を読んで「あ、こんなこと考えたんだね、私。」って何度も思った。
自分に質問をたくさん投げかけた。
たくさん文章に答えが返ってきた。
もっと書くのが楽しくなった。
書くのが楽しくなって他の人の書く文章を読みたくなった。
一日中時間が許す限り読んだ。
すると書く人によってなんだか自分が感じる「何か」が違うなって気づいた。
そうか、文章ってその人の「顔」なんだ。
同じことを言われても人によってする表情は違うのと同じで、同じお題でも書く人によって書く内容が全く違う。
「あぁ、この人はこんな表情をするんだ」
って読んでいて楽しくなった。
最初の一文で、もっと読みたいって思える文章をかける人って本当にすごい。
少し覗くつもりが気づいたら深くまで来ていたような感覚。
この感覚は久しぶりだった。
難しいことや自分の知らないことが書いてあるのに読んでいて楽しいとか、なんとなく「わかる」とか一緒に笑ったり気持ちを共有できることが楽しいし嬉しい。
その文章を読んだだけでその人の人となりがなんとなくわかるから不思議だ。なんだか自分と気が合うかもしれないなんて勝手に思ったりして。
初めは何度もつまずいたけど何度か書いていればきっと慣れていく。
あとから手直しを何度もした。
1つの記事に何日もかけた。
最初に書いたときと内容がガラッと変わった部分もある。
そうしてできた文章。
他の人の書く文章と違って読みにくいかもしれない。慣れていない感じがするかもしれない。
それでも書くことに意味があると感じた。
読む側から書く側になれたことが嬉しい。
楽しいと思える時間が増えたことが嬉しい。
楽しいことを楽しいと思えることが嬉しい。
たくさんの表情を詰めた私の文章。
私の書く文章は他の人から見てどんな表情をしているのだろうか。
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