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企業目線+データ分析でU-NEXTパイレーツ新加入選手を考察(第1回)

パイレーツは2名の新選手指名が必要

皆さまご承知の通り、U-NEXTパイレーツは朝倉・石橋両選手と契約満了し、来る7月に行われるドラフト会議において、新たに2選手を指名する見込みとなっています。

パイレーツファン(特に石橋さんファンの自分)からすると、これまで様々なドラマを作ってきたお2人を次年度のMリーグで見られないのは、ただただ悲しい限りです。

その反面、正直に申し上げると、新たな選手の指名も楽しみだったりします。どんな選手がMリーグに現れ、新たな風を吹き込むのか。多くのMリーグファンも同様の思いかと思います。

Twitter上では、新加入選手の予想をする方も多く、かくいう私も、渋川さん、いばらぎさん、鈴木優さんのうち2人が指名されてほしいなぁ、と漠然と思っています。

が、仮に「自分がパイレーツの担当者だったとしたら」自分の好き嫌いのみで選手を選ぶわけにはいきません。
客観的なデータに基づいて、説得力ある議論を積み重ねたうえで、意思決定権者にプレゼンをする必要があるわけです。

そして、パイレーツ(とサクラナイツ)のチーム運営は独特であり、明確に意図をもって行われているように思われることから、本気で考察したら結構面白いのではないか、とも思いました。

であれば、「自分が担当者だったら」をして楽しんでみようか、ということで、考察にトライしてみることにしました。
一連の投稿では、様々なデータを用いながら、企業目線で指名選手を考察していきたいと思います。

また、本稿の隠れた目的として、日本語のリハビリというものもあります。
自分自身、実は久しく日本語で長い文章を書くことをしていなかったので、なんとかして感覚を取り戻したいと思っています。
読みにくい点多々あろうかと思います。
そこまでたくさんの読者がいるとも思えませんが、ご容赦いただければと幸いです。

本考察の構成及び注意点

とりあえず書き始めてみたのですが、分量が非常に多くなりそうなので、計4回に分けて論じていきたいと考えています。

まず、本稿(第1回)では、「考察の前提となる様々な事象の整理」をしています。
このあたりは、退屈な部分ではあるのですが、考察するには欠かせない部分ですので、省略することはできません。

そして、第1回の内容を踏まえた上で、
第2回「パイレーツのファン層を拡大させる選手について」
第3回「パイレーツファンの熱狂度を増加させる選手について」
第4回「その他に考慮すべき重要な要素+結論」
を述べていきたいと思います。

本分析は、完全なものにはなりえませんし、それを目指してもいません。
あくまで、現時点で取得可能なデータに基づいて「自分だったらこのように考える」というものにすぎませんので、そのようにご理解いただければ幸いです。

議論の出発点:究極の目的はU-NEXT社の収益増

株式会社U-NEXT(以下、U-NEXT社)が実際のところ、どういう目的でチームのオーナーになったかはわかりかねます。
リーグ発足当初のプレスリリースを読むに、「新しいスポーツエンターテイメントを普及していく新たなチャレンジに貢献したい」とありますが、株式会社である以上、究極的には、社全体の(長期での)収益増を目的としているはずです。
したがって、新メンバー選定も究極的にはこれに沿う形で行われます。

ただ、収益増といっても、そのための手段は星の数ほどあります。
U-NEXTパイレーツというチーム自体に大きな収益の源泉を求める、というのも一つですし、あるいは、U-NEXT社の知名度上昇・イメージアップを企図し、それにより本業の収益増につなげていくというのも一つです。
(パイレーツの活動によって、U-NEXTの加入数に大きな影響がなかったとしても、パイレーツのイメージに魅かれた多くの大学生や若いエンジニアがU-NEXTの門を叩き、結果としてU-NEXT社が優秀な職員を採用できる、というだけでも、大きな成果と言えます。)

マーケティングを考えるにあたって、当然ながら、後者は非常に重要な点です。
本分析においても、本当は「パイレーツが本業の知名度向上・イメージアップにどのような影響を及ぼしているのか」について深く掘り下げたいのですが、いかんせんこのあたりのデータへのアクセスは容易ではないので、なかなか難しいのが実情だったりします。
したがってこの一連の投稿では、新メンバー選定は「パイレーツの(長期的な)収益増」に焦点を置いて行われるものとして、分析を進めたいと思います。

パイレーツの収益増の主な経路は3つ

パイレーツがより多くの収益を得るためには、
①賞金(特に優勝賞金)の継続的な獲得、
パイレーツのためにお金を払ってくれるファンの拡大(ファンの広さの拡大)、
ファン一人当たりが払ってくれるお金の増加(ファンの深さの拡大
が必要となってきます。

賞金の獲得のみには頼れない

このうち、①賞金の獲得がもっとも手っ取り早い方法です。
これまでの賞金額1位は、サクラナイツ及び風林火山の7千万円である反面、最下位はコナミと雷電の0円です。
その差7千万円。
7千万円はすぐに稼げる金額ではありません。

ただ、これまでのMリーグで奇しくも証明されたように、賞金を継続して獲得することは非常に難しいといえます。
安定した強さを見せているアベマズのみが4年連続での賞金獲得に成功していますが、いずれも3位だったため、合計4千万円。総獲得賞金額だけでいうと、Mリーグ8チームの下半分に入ってしまうわけです。
また、4千万円では選手の年俸を賄うことすらできません。

<総獲得賞金額>
1位タイ(7千万円):サクラナイツ、風林火山
3位タイ(5千万円):パイレーツ、ドリブンズ
5位タイ(4千万円):アベマズ、フェニックス
7位タイ(0円)  :コナミ、雷電

したがって、チーム運営するにあたって、賞金を得ることはこの上ない助けになりますが、少なくともこの4年間の実績をみると、それのみに頼ることは非常に難しいといえます。
ゆえに、チームの収入源については、賞金以外にも「ファンからの(経済的な)応援」も必ず加味する必要があるわけです。

このことから、新選手選考にあたって、「強さ」は判断基準としては重要ではありつつも、「ファンの広さ(お金を使ってくれるファンの人数)・深さ(ファン一人当たりの支出金額)拡大への貢献」も欠かせない要素となります。
逆に言うと、これらへの貢献を度外視して「強さ」のみで選手を選ぶことは、チーム運営を経済面で不安定化させる要素となりうるということになります。

なお、堀さんの事例を挙げて、「『強さ』のみで選手を選んだ上で、企業側が新選手をプロデュースして対応すればいいじゃないか」という意見もあろうかと思います。
実際、堀さんのポテンシャルを見抜き、プロデュースにも見事に成功している森井監督にはただただ脱帽です。
が、これに100%再現可能性があるかと甚だ疑問ですし、100%所属タレントが成功する芸能事務所が歴史上なかったし、これから先もないであろうことを考えても、個人のプロデュース能力に完全に依存するのには限界がありそうです。
あくまでここは自分なりに、与えられた条件の下で考えていきたいと思います。

ファン層拡大がパイレーツの現在の主なミッション

現状、パイレーツは、意図的に「ファン層拡大」を優先しているように見受けられます。
その理由は、以下の4点です。

  • 2018年のドラフト会議以降、パイレーツはオフィシャルサポーターを除き、有料会員のコミュニティを持たずに活動していること。ファンの深さを追求する代わりに、ファンにヒエラルキーを設けないことで、新規ファンの心理的障壁をできる限り下げよう(=間口を広げよう)としているように見えます。

  • 多くの経費がかかるリアルイベントを除けば、パイレーツの発信する情報に値段をつけていない(=無料としている)こと。古参ファンも新規ファンも同程度の情報にアクセスできるようにすることで、新規ファンが古参ファンにキャッチアップするのを容易にしているように見えます。

  • チームメンバーのメディア出演につき、チームのサポート・関与が見受けられること。例えば、瑞原さんの「東大王」出演時にチームスタッフが同行したことが見受けられ、チームとして、既存ファン以外とチームメンバーの接触機会を重要視し、多くの人々の注意(Attention)ないし興味(Interest)をひく機会をできる限り活かそうとしていることが見てとれます(AIDAフレームワークでいうAとIの部分ですね)。

  • (サクラナイツが先駆者ではありますが、)パイレーツも麻雀以外のイベントを行い、パイレーツの配信まできてくれた麻雀初心者を麻雀沼にひきこもうとしている(=パイレーツの応援をしてみたい(Desire)と思わせるよう取り組んでいる)こと。パイレーツが桃鉄の配信をしたって、サクラナイツが45秒踊ったって、直接収益につながるわけではないです。ファン層拡大のための取組み(または、オフシーズンに興味を失いかねないファンをつなぎとめる(ファン層縮小を防ぐ)ための取組み)として、とらえるべきかと。

そして、今回のチームメンバーの2名変更もこの延長線上にあるものとして、とらえる必要があろうかと思います。
当然、チームメンバー変更により、既存メンバーで構成されていたパイレーツを愛していたファンや朝倉・石橋両選手固有のファンを失うリスクもありますが、

  • 入れ替え規定に引っかかった時点で4人箱推しファンは、いずれにせよ失われること

  • 適切に指名選手を選べば、朝倉・石橋両選手の固有のファンをある程度歩留まりさせることが可能と見込まれること(詳細後述)

から、2名変更に踏み切ったものと考えられます。
2点目については、第3回「ファンの熱狂度増加」のセクションの中で、データ分析込みで詳述したいと思います。

ここまでが前置き。長くて申し訳ないです。

次回第2回は「ファン層拡大に貢献する選手は誰か」について書いていこうと思います。

↓↓↓第2回へのリンク


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