見出し画像

奇跡の夜

狛江スリムは、現在のお店がある狛江ショッピングセンターから退店することになりました。狭いお店なのであまり宣伝しすぎても対応が難しいということもあり、また決まったのが少し急だったので、あくまで口伝えの範囲で限られたお知らせをしていました。

10月中の引き上げとなったので、片付けなどを考えると最後の営業は10/16〜17と決めました。ありがたいことにすぐご予約が入り、この週末に向けて店主連も気合が入ります。

最後なので採算は二の次。作る側も食べる側も美味しくて楽しくて、記憶に残るようなものを。煮込み料理は牛スネの煮込みと、渾身の「一期一会カレー」。ビリヤニはスリムらしい「アゴビリヤニ」と、イノシシの子供のウリ坊を丸々一頭使った「ウリ坊ビリヤニ」を仕込みました。

ありがたいことに初日から盛況で、朝方まで常連さんに惜しむ声をたくさん頂きました。店の片付けをしながら店主連で、「あと他に”店で会いたかったな〜”と思う人っているかな?」と雑談しますが、なかなか見つからない中唯一「そうだね!」と共感したのは、とある京都のビリヤニ専門店の方でした。

次々と創造力のあるビリヤニを産み出し、美味しいお店を食べ歩くその姿勢に早い時期からシンパシーを覚え、ポップアップ営業にお伺いしたこともありました。スリムのメニューもその創造力に少なからず影響を受け、インスタも絶賛フォロー中です。

そのご本人が、二日目の早めの時間に突然ご来店頂きました。あまりの衝撃に、店主連は言葉を失います。実は今日がここでの最終営業ですとお伝えすると、どちらも二度びっくりの素晴らしい邂逅となりました。

他にも、懇意にしていただいている近所のビアパブのお客様や、隣のバーのマスターもご挨拶に来て頂き、小さい店の少ない席はあっというまに埋まります。すると突然バーのマスターが、京都のビリヤニ屋さんの活動する音楽ユニットの名前を言い当てました。ラジオのDJをしていた頃に、実は会ったことがあったのでした。

他にも京都出身の常連さんがいらっしゃったりと、店内は不思議なシンクロニシティに包まれます。二口しかないコンロと店中の食器をやりくりしながら飲み物とフードをお出ししますが、惜しいことにウリ坊ビリヤニにはたどり着けず。それでも京都のお店は皆の心に改めて刻まれた夜でした。

閉店後、年代物のブルネロで乾杯した店主連なのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?