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狛江市役所本庁舎4階 リノベーションの話。(狛江市 総務課×こまえのデザイン.)

こんにちは、こまえのデザイン.です。

突然ですが、皆さん、狛江市役所の『4階』にお越しいただいたことはありますか?

狛江市役所の4階は、市長室や副市長室のほか、企画財政部や総務部など、主に内部管理系の業務を行う部署があります。
市役所といえば、引っ越しのときに住民票の手続きをする2階の市民課や、保育園や学童の申込みをする3階の子ども家庭部の窓口をイメージするかもしれませんが、今回ご紹介する狛江市役所の4階は、一般の方の出入りが比較的少ないフロアです。

今回、この市役所本庁舎4階フロアの執務スペースを大幅にリノベーションしましたので、その様子をご紹介します。


今、どうしてリノベーションするの?

今般の新型コロナウイルスへの対策として、狛江市役所でも、在宅勤務をはじめとしたテレワークが導入され、日中、市役所の執務室にも空いているスペースが目立つようになってきました。
また、新型コロナウイルスの流行以前から、これからの社会に対応できる市役所職員の育成や働き方改革も進められようとしており、これまでの執務室のような画一的な執務環境ではなかなか生まれづらかった柔軟な発想やスピード感、"未来構想力"で新たな価値を生み出せる職員の育成を図りながら、部署を超えた職員間のコミュニケーションが生まれるような職場環境が必要になっていました。

今回、このような職場環境の実現をめざして、市役所内でも、まずは内部管理系の業務が多い4階フロアのリノベーションをすることにしました。

4階フロアが抱えていた3つの問題

これまで、狛江市役所の4階フロアは大きく3つの問題を抱えていました。

リノベーション前の4階フロア

①執務場所やデスクの“配置”の問題
・企画調整部門と総務・人事部門の執務場所が離れていることで、働き方改革やDXなど、企画と総務が一体となって進めるべき、新たな時代に向けた業務体制や環境整備を図るための"推進力"が、なかなか力強くならない。
・どの部署も係員と課長席が少し離れていて、かつ管理職同士も横並びのため、フロア内でのコミュニケーションがしづらい。

②デスクの形状やタイプなど、“デスクそのもの”の問題
・基本的にすべての机が可変性のない袖机付き事務机で、かつ固定席であることによって、休暇や在宅ワークで市役所に出勤しない職員がいても、常時机に私物があって使いづらかったり、文書管理やペーパーレス意識の定着を阻害している。

③職員の意識や組織の慣行の問題
・狛江市でもコロナ禍以前から進めようとしていた『ペ-パーレス化』は、掛け声をかけても全庁的にはなかなか進んでいなかった、というのが実情。
・環境が変わらないから意識が変えられないのか、意識が変わらないから環境を変えようとしないのか。まさに『ニワトリと卵』のような状況になっていた。

問題解決に向けたアクション

今回、この3つの問題の解決に向けて『企画・総務部門の機能性向上に向けた職員間のコミュニケーションの活性化と意識変革に繋がる執務環境の提供』をコンセプトに、

  1. 職員課(5階)と施設課(4階)の執務場所の入れ替えと、それを契機とした4階執務スペースの再構成

  2. 業務の性質により、フリーアドレス⇔固定席(※係単位)を使い分けたハイブリッドな執務スペースの構築

  3. 職員の意識改革や旧来の組織慣行の見直しに繋がる旧型デスクの入替え+可変性を持たせたデスク配置

を行うことにしました

もともと4階の企画・総務部門は、執務環境に柔軟性を持たせることで業務の効率性や生産性を上げられる業務が比較的多く、フリーアドレスに馴染みやすい環境でした。
ですが、その一方で、総務課や職員課といった内部の職員との接触が特に多い部署は、担当する職員の執務場所が日々変わることで、他の部門の職員の業務効率が下がるおそれもありました。

今回は、これらの問題に同時に対応するため、フリーアドレスと係単位の固定席が混在する、“ハイブリッド”なレイアウトとして、なおかつできる限り可変性があり、柔軟に使用できるデスクやロッカーを整備する、という方針にしました。

最終レイアウト案

そして、4階フロアはこうなった!

そして、年度末も押し迫った令和4年3月の最終日曜日。
いよいよ4階執務室のレイアウト変更と什器の入替えが行われ、これまで5階にあった職員課や、同じ4階でも別室となっていた政策室の企画調整担当と市民協働担当が、この執務スペースに引っ越してきました。

今回の新たなレイアウトでは、個人の机があるのは2人の部長だけで、職務内容・担当が個人単位で明確な部署は、課長以下の職員は全員フリーアドレスになりました。
また、総務課や職員課など、内部の職員と対面でやり取りすることが多い部署は、その都度立ち上がることなく、イスに座ったまま横に立つ職員と同じ目線で話ができるように、ハイデスクとハイチェアを導入しました。
他にも、執務室の隅に個人ワークスペースを設置して、1人で集中して行う業務をしやすくしたり、フロアの中央に集めた打合せスペースはどの席からでもすぐことができ、少人数から大人数まで幅広く対応できるようなテーブルやモニターも設置しています。

リノベーション後の4階フロア

リノベーションを終えて。

リノベーションを終えて、実際にこのフロアで業務を始めてみると、これまでにはなかったコミュニケーションが、職員の間で日々生まれていることを実感しています。

今回のリノベーションが行われた翌日に、4階フロアで働く職員全員に、このリノベーションの目的であった

  • 部や課をまたいだ情報交換・情報共有が円滑に行われることで、相互の業務を理解し、組織として効率的でクオリティの高い内部事務を実現すること。

  • 雑談も含め、「偶発的な」コミュニケーションを「意図的に」生じさせる環境にすることで、個々の職員の発想を広げていただくこと。

  • ペーパーレス化を進めることで、個々の職員の業務効率を向上させること。

の3点を、庁内グループウェアを通して改めて共有しました。

当たり前ですが、職場の環境が変わったことが自動的に成果につながるわけではありません。
このフロアで働くそれぞれの職員が、今回のリノベーションを契機に、自分の仕事の進め方や働き方を見つめ直し、意識を持って変えていくことで、はじめて成果をもたらすものと考えています。

このリノベーションの成果を市民の皆さんに還元できるようになるのはもう少し先になると思いますが、リノベーションの直後から、異なる部署の職員の間で、雑談も含めたコミュニケーションが生まれ、様々な情報に触れられる環境になったことは間違いありません。

この記事をお読みいただいた皆さま。次に市役所にいらしたときは、4階のフロアをちらっと覗いてみてください。執務室内に立ち入ることはできませんが、見学・視察は大歓迎です!(G)

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