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週末に利用する家に入ると何か音がしていた

私は、神奈川県横浜市に住まい、東京湾の対岸にある木更津市に別宅がある。こちらの別宅には週末にきて子供たちや母校の後輩たち向けに電子工作塾やよろず相談窓口を開いたり、実験開発などをしている。毎週来るわけではない。1か月ほど前に来訪して玄関を開けると何か家から音がするのだ。そうだトイレから水が流れる音が続いているのだ。トイレに入るとタンクの水が流れたままになっている。水が止まっていないのだ。果たして、最後に家を出た時にトイレを使ったのかどうかは記憶にないが流したとしてもなぜ止まらないのか?ドライバで水栓を閉めたうえでトイレタンクを確認すると水をためるはずの部分で大小で水量を切り替える可動式の入れ子になっている形の部分がずれているようだった。位置を治して水栓をあけて溜まるのを確認してそうして利用していた。

マイナスドライバーで閉めた水栓

その後、私と同様に近くに(といっても車で15分かかる)週末の家を持つ妹夫婦が、彼らの帰途途中で来てくれた時にも水がとまらない事案が発生して水栓を閉めて施設保全などに詳しい義弟がみてくれて中の部品を交換しないといけないなと話をしてくれた。前回同様にずれてしまった入れ子の部品の位置を治して対処をしておいた。その後も時々、水が止まらなくなるのは住んでいる間は当然気が付くので位置を治すことをしていた。週末に使う量はしれているのでおよそ2か月で5立方m程度だ。お風呂は張る事をしていないので洗濯と調理くらいだからだ。

先週末に来ているときに玄関からベルが鳴り出てみると水道の検診の方だった。「お宅人が増えましたか?水量が10倍に増えているのですが」ということだった。見ると、使用水量が58立方mとなっているお知らせを手にしている。「漏水していませんか」との話だったが、メーターを再度立ち会ってみていただくと止まっているので漏水が続いているわけではない。「週末にしか来ていないので分からないのだが水量が増えるような暮らしはしていないので」と話をして何かあれば連絡をしてくださいということだった。

水道利用のお知らせをみると普段の5倍の請求額となっている。何が起きているのか・・・思い出したのは先日来た時にトイレの水が流れたままになっていたことだった。いない間にそうした事態になると困ると思い、家を出るときには、トイレの水栓を閉めるようにしてその週は帰ったのだが、直すしかないだろうと思い入れ子になっている部品がずれないようにするためには外殻のケースと入れ子の部品を固定するための固定部品を作る必要があると考えて、内部の構造を巻尺スケールでなんとか当たりをつけて部品を設計し3Dプリンタで部品を作った。なんどか設計調整をしてしっかりと部品が止まることを確認して修理を終えた。これで安心して別宅から帰るときに個別にトイレの水栓を閉める必要もなくなった。写真の緑色の部品が新たに作ったものだ。元々の構造は不明だが、何かが外れたのか、壊れたのだろうか。

3Dプリントした緑色のパーツで黒い容器を白の外殻にクリップして固定した

今週は、妹夫婦の週末の家で年末の餅つき会があり、富津に住んでいる姪が餅つき会に参加する友人を木更津駅まで迎えに行き、その途中で別宅近くのコンビニエンスストアで拾ってくれる段取りだった。しばし車で話をしながら、妹の家に向かった。位置的には房総半島の中央に向かってさらに入った久留里線沿線にあたる地区で愛宕神社の近くになる。妹の家への最後のアプローチにはその神社の参道となり鳥居をくぐっていくことになる。妹やその友人たち自体は、敬虔なクリスチャンなのだが、ここは日本なので彼女らも初詣もクリスマスも七五三も凡てアリの世界観なのだ。

子供が減っているという日本の実情はどこにという賑やかな子供たち、その親たちでもある妹や姪たちの友人も集ってきた。この妹夫婦が手に入れた、家はこの地区に住んでいたご家族が手放した田舎物件であり破格で広い敷地を持ついわゆる誰かの実家のような風情なのである。娘や姪たちの子供たちがやってきて楽しい時間を過ごせるように広い庭には遊具が作られたりして夏には少し大きめのブールも庭において水を張るらしい。庭に置かれた端材を燃やせるようにした薪ストーブにはお釜が据えられて蒸籠が2段積み上げられて餅つきの準備万端というところだ。義弟が火の番をしていた


蒸籠は今日は何回使うのだろうか
ブランコでハンドルで揺することができる
ゴール目指す未来のなでしこ達も
墓仕舞いした墓石はここに移設

義弟とはトイレ修理の話を作った3Dプリントの部品の写真を見せたりして水道料金が跳ねあがった話をしていたところ「義兄さん、それは水道局にいえば漏水として返金してくれるはずですよ」という、彼も教会で保有する別荘の保全などをしてきた経験からそうしたことがあったらしい。「修理の証明として写真などを出せばよいはずですよ」とのことだったので週明けに問い合わせることにした。皆さんと餅つきを楽しんだことはいうまでもない。

 姪と義弟の呼吸は流石の父娘
義甥も参戦
年長の私も参戦

遅くまで年末恒例イベントは、プレゼントの交換やゲームに興じお菓子や餅を堪能した。最後は、長兄に纏わる講演ビデオを改めて紹介して、姪たちにも蝶々の伯父さんの業績を称えるその業界の方々の話を紹介した。余りにも早口なので、50%の速度に落として再生できたのはYOUTUBEのお陰だ。日も暮れて各地から集ったご家族がねんまつ挨拶をしながら解散となり、妹夫婦と姪の車で私も別宅近くでおろしてもらい年末挨拶で分かれた。

あくる朝、水道局に電話をしたところ、漏水保証が出るのは発見困難な状況にある個所で、かつその修理を指定の工事業者がおこない領収証などがあるときに限られるということだった。確かに住んでいる間に生じた場合には気が付いて応急処置をしておいたので発見が困難であるとは思わない。業者を呼んで修理を依頼すればよいのだから。とはいえ、住んでいない間に起きた場合には、やはり発見困難なのではないかとは思うのだが。そうしたケースは水道局の管轄外なのか私の説明不足だったのか・・・。何か自分のしてきたことに落ち度があるとは思わないのだが、腑に落ちないルールがあるようだ。いつトイレタンクがズレて漏水になったのかは発見困難かどうかといえば、住んでいれば気が付くのは当たり前だ。しかしながら週末にしか来ない家で、なんの拍子で入れ子がズレてしまうのかは来なければわからないからだ。

水道局のルールでは、漏水工事の対処は水道局の指定業者がおこなったものでなければならないということ。最近はテレビCMが無くなったような、すぐ駆けつけて安心ですというような業者ではだめだろうし、水道局が保証してくれるのは漏水認定された場合の水道料金のみだ。この場合には1万円の補償ということになる。年金暮らしには大きな出費だ。補修部品のサイトにたどり着き当該のトイレタンクについては、外殻となる瀬戸物と、内部のアセンブリーの2つに大きく分けられていて壊れた箇所は通常は摩耗などにより壊れるものではないという扱いになるのか細かすぎるのでアセンブリー全体での交換しかないそうだ。TOTOのサイトでは42000円なり、その部品代に加えることの出張費と技術料が加算されると部品代の割引があったせよ5万円以上になるのは明白だ。しかし、こうした手順を踏まないと世の中の仕組みでの補償はなされないということなのだ。

別宅から帰る際には、毎回ドライバ―でトイレタンクの水栓を締めなおして帰るという不便さを教訓にして忘れると10000円の水道料金の過料が発生する。5万円の出費を投資して、安心を得るか、今回のような水道料金過料に基づいて、事故案件を課題としてとらえて仮説を立てて実測して図面を仮想空間に描いて得られたパーツを3Dプリントして、何度かトライして現物合わせをすることで、トイレタンクをばらすことなく修理を完了することができた。これは大いなる成果だ、部品代は3gのフィラメントを3回分で凡そ10円だ。印刷に必要な時間は各々20分ほどなのでこれも10円程度だ。

しかしながら、3Dプリンタを持っていたところでもデータを作成したことがない人やクッキー型を作っておしまいになっている人ではなしえないのは高専で製図を学び、リタイア前から3DCADに習熟して、現物合わせをJTCな日本企業で学びノギス片手に計測をしてきた私にとってもバラさずに入り組んだ箇所をコンベックスのU字に曲げて計測したり、手でまさぐって見えない部分の構造を確認したりと難問だったのは間違いない。この出来上がった緑色の部品を見てもらったり写真を持ち込んで水道局の人と議論をしても始まらないのは明らかなのだ。

高専で学び実践力を培い、リタイアしてもこうしてそれは活用できるのが1%しかいないという高専人の生き方なのだと思う。少し変わったお子さんだとおもったら社会に埋没しないような尖った人生を送ることを示唆するのが良いのではと育児経験もない自分が話すのはおこがましい。インフラ修理の費用を5万円削減できたので、水道過料を相殺しても余りあるあ効果だったし、なにより治ったので良しと、良いお年を。

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