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#4 駄菓子屋さんのはなし 昭和47年頃

仕舞屋(しもたや)風の佇まいにガラス張りの表襖…

並べた縁台の上に所狭しと並べられた安価な菓子…


取口の広い長方形のビンに入ったスルメ、カレー煎、塩煎、ざら目をまぶした梅干大の色とりどりの飴…


ガラスケースに横並びになった鼈甲飴…

セルロイドで出来た棒で紙製の箱を突いて取り出す丸いガムは出てきた色によってもう一つ、大当たりはジャイアンツやタイガースのロゴをかたどったピンバッチ… 

値段はどれも5円、10円…

今の三倍の大きさで中に白いヌガーが入ったチロルチョコレートは10円だった


店先のおばちゃんは縞模様の古びた着物に白い割烹着姿…

一昔前のドリフのコントの志村けんのおばあちゃん… 


僕たちが子供の頃、毎日一度は覗きに行くお店がありました。


それが駄菓子屋さん… 

最近ではスーパーやコンビニにもそんな一角があって、小さな子供たちが「100円までやで~!」とお母さんに言われて一生懸命になる姿に「時代は変わっても駄菓子を選ぶ子供の様は変わらないな…」と微笑んだりしますが… 


今日は、こまちんが子供の頃の駄菓子屋さんのはなし… 


糸引き飴というのがありました。 

大小の飴にタコ糸が付いていて根元でタコ糸を一つに束ねて紙を巻いてあるんです。 

タコ糸を引っ張ると先についてある飴が貰える…
飴の大きさが大小まちまちで…

当然、小さいのを引くと悲しいし大きいのを引くと嬉しいし…

今から思えば5円、10円玉を握り締めてくるちびっこ相手に何をするんや!!
と、思いますが… 


お店のおばちゃんがよそ見している間にこっそりタコ糸を引っ張るんです。

大きな飴が動いたらすかさずタコ糸をよれば、タコ糸がズズ黒くなります。(今と違って当時の子供らは晩飯の前に手を石鹸で洗うまではしっかり汚れていました…) 

改めてお金を払ってズズ黒い糸を引けば…
あ~ら不思議っ!! 

「あんたっ!いつも大きいの引くなぁっ!」(怒気を含んだ志村けん風おばちゃん…) 


当り付きの板ガムがありました。 

今で言うロッテの普通の板ガムみたいなのが一枚ずつ綺麗に50枚とか100枚とかの単位で並べて売っていました。

外側の紙をめくると「あたり」「はずれ」の文字が書かれていて、当たるとヨーヨーや今は見なくなった、長い糸に金玉ぶらさげたみたいなカチカチクラッカーなるものが貰えるんです。(アメリカンクラッカーっていったかな?当時、凄く流行ってました…景品用のやつはしょぼかったですが…)


とにかく景品が欲しくて欲しくもないガムを夢中で買いましたっけ…(やっぱり今から思えば子供相手に何するねんって思う…) 

この板ガム…

お店に卸されるときは、はずればかりが入った板ガムの箱とあたりが付いた数枚の板ガムとが、別々に梱包されてくるんです。

つまり、お店のおばちゃんが店先に並べるときにあたりつきのガムを適当に入れるという仕組みだったんですね。 

綺麗に同じ方向に並んだ板ガムの中に向きの違う板ガムが数枚…

こまちんすかさず纏め買い…
案の定、全部あたり! 

「あんた!あたり全部先に引いたら売りモンにならんがな~!!」(怒る志村けん風…) 

「誰にも言うたらあかんでぇ~」(突然、声色を変え説得に回るおばちゃん…) 

すべてのあたりがなくなったあたりつきのガムを平然と売る駄菓子屋のおばちゃん… 

そのたくましい商魂を横目で見ながら子供心に駄菓子屋の卒業を誓う小学2年生のこまちんでした…

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