コーヒーと私
私にはただのドリップコーヒーはまだ早い。
でも、スチームミルクとフォームミルクが入ったカフェミストとなればもうそれは絶品だ。
「上に何かおかけしましょうか?」店員さんが言う。
「何がおすすめですか」
「チョコレートソースなんていかがでしょう」
「じゃあそれでお願いします」
店員さんはチョコレートソースを両手で持ち、丁寧に均等にのせた。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
ぐるぐる巻きのチョコレートソースは私の頭の中とお揃い。
早く、溶けてしまう前に、甘いうちに、自分の脳の回路に刻まれる前に、飲み込んでしまいたくて、私はずずッと15秒でそのぐるぐるを飲み込んだ。
ぐるぐるが下に沈んでしまう前に飲み込めたことに私はニンマリした。
「どうですか。美味しいですか?」
店員さんが言う。
「お、美味しいです」
「良かったです」
笑顔な店員さん。
作り笑顔な私。
もっと具体的な感想を述べたら良かったかな〜明るく返答出来たかな〜
あ、また頭がぐるぐるしちゃった。ちょっと悔しい。
もう一回ぐるぐるを飲み込んでやりたくてカップを覗いたけれど、そこにはあわあわのミルクとベージュのミルクコーヒーだけだった。
本当はゆっくり味わいたい自分を押し殺して、今度はごくんと10秒で飲んでやった。
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