セルフライナーノーツ 1stEP『街景』

まずはリリースパーティにお越し頂いた方々へ。
改めてありがとうございました。
感謝します。
本当に楽しい1日になりました。

そして今更ですが、1stEP『街景』のセルフライナーノーツ的なものを書いてみようと思います。
読み終わったら(読みながらでも!)改めて『街景』を通して聴いてみて下さい。

1. cityscape#1

アルバムのイントロダクション。
交差点の信号機、改札口、踏切と電車の走行音、公園で遊ぶ子供の声など、普段は何気なく聞き流してしまっている音のサンプリングを散りばめてみました。秒針を刻む音からアルバムが始まるのは、実は people in the box の中でも好きなアルバム『Family Record』のオマージュだったりします。
『街景』がどういったコンセプトのアルバムなのか提示する役割を担わせたつもりです。そういう意味で言うと、ド頭の目覚まし時計のアラームはまさに “目覚め!!覚醒!!” という訳ですね。ちなみにポロポロと爪弾いているギターは「街景」のコード進行です。

2. 春容

読み方は「はるすがた」、意味はそのまま春の景色。
ヴィブラスラップ、声ネタ、ワウを噛ませたギター、2サビでの倍テンリズム、ラスサビで半音上への転調など要素てんこ盛り。
コーラスやシンセボイスなどを含めて、声だけでも30トラック以上になってしまい(楽器のトラックを入れたら100トラック以上!)、パソコンのスペックと闘いながら制作した記憶があります。ミックスの時に何度もパソコンが固まって絶望しながら作っていた。。。
最初はサビの「さよなら、恋の季節よ」という歌詞とメロディがパッと頭に浮かび、そのまま他のセクションを肉付けしていきました。
Aメロに「ひらひら」「ふらふら」「ぴかぴか」「ぱらぱら」など、歌詞にオノマトペが散りばめられているのは、フジファブリックの故志村正彦氏からの影響です。
ちなみにライブで歌うのがかなり難しい。

3. 夏の送り火

中山小町として初めて書いた楽曲。
コーラスやシンセが入ったことで、SoundCloud に上がっているデモ版よりも”温度”はそのままに少しだけ”湿度”が下がった気がしています。
indigo la End の「夏夜のマジック」の様に、夏の匂いが感じられる曲を書きたいと思って作りました。
イントロのジリジリとした歪みは、虫の鳴き声をイメージ。
浮遊感のあるコード進行は、山下達郎氏の「あまく危険な香り」が元ネタ。
元々はもっとファンキーに仕上げる予定だったのが、気付いたらシットリに仕上がっていました。
この曲のギターソロはアルバムの中でも一番のお気に入り。
SoundCloudのデモとアルバム版、そしてライブでの演奏でそれぞれ少しずつ違った趣が感じられるかと思います。

4. 夜間飛行

「夏の送り火」を作った後、宅録で活動していくことについて色々と考える内に ”自分の中のもう一人の自分(音楽家としての自分)と向き合いつつ、これから歩みを進めて行く” というテーマが頭に浮かび、それを基に歌詞や音像を作り上げていった曲。
タイトルはサンテグジュペリの小説「夜間飛行(仏題: vol de nuit)」から。
頭に入っている音は、Messerschmitt Bf 109 G-6 というドイツ製レシプロ戦闘機のエンジン音をサンプリングしたもの。
実は歌詞の裏テーマとして、ストライクウィッチーズというアニメの1期第6話「いっしょだよ」という回がコンセプトにあります。エイラとサーニャという二人の登場人物にスポットライトを照らした話になっているのですが、つまり「夜間飛行」はその二人について歌った曲でもある訳ですね。
ちなみに音像に関しては、この曲を作っていた頃、韓国の Mot というアーティストの曲をよく聴いていたので、体温の低さや浮遊感のあるリズムはかなり影響を受けていると思います。イントロのギターリフは、Isaiah Sharkey などのネオソウルギタリストや、BREIMENの「Lie on the night」から影響を受けて作ったはずです多分。

5. la Lune

フランス語で "月" の意味。
1曲くらいは弾き語りの曲があると良いなと思って入れました。
フル尺だと少し諄いなと感じた為、あえて1番だけにしています。
閑話休題的な立ち位置ですね。
弾き語りのライブでフル尺を演奏する際には、間奏でフランス語の朗読を試みたりしてます。
SNSでの貶め合いといった身近な部分から、戦争や差別といった大きな部分について考えて書いた曲です。

6. 街景

アルバムのタイトルトラック。EPの中では一番最後に完成した曲。
BREIMEN からいけだゆうたが客演として参加。素敵なオルガン/エレピ/メロトロンを弾いてくれています。
「夜間飛行」「la Lune」と続いた後に "夜が明ける!!" "なんならもう昼過ぎ!!” というイメージで、最後の1曲にしました。
2番のBメロからギターソロで転調、更に落ちサビで転調、最後のサビで元の調に戻ってくるというドラマチックな展開が特徴的。
弾き語りで作った際には、かなりシットリとした質感の曲だったんですが、明るくアルバムを〆たいなと思い、モータウンなビートに渋谷系なキラキラ感を足したアレンジにしました。全体的には広末涼子「MajiでKoiする5秒前」や The Supremes 「You Can't Hurry Love」、東京事変「キラーチューン」などから影響を受けていると思います。
ちなみに頭の「忘れかけていたんだよ」は、Bon Iver や James Blake を参考にボコーダーの様な特殊なエフェクトを掛けています。実はイントロだけで3バージョンくらいあるのですが、結局このバージョンに落ち着きました。
この曲だけボーカルのミックスが上手くいかず、最後の最後まで何度もミックスをやり直した記憶があります。


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