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SNSの普及による、作家とお客様の関係性の変化




私がギャラリーを始めた当時(17年以上前)、
SNSなんてものは無かった。


作家はギャラリーに作品を委託し、作家自身の発言などは、直接会えた時以外、聴くことが出来なかった。

その代わりに、私のようなギャラリーオーナーが作家さまから聴いた話や、作品に込めた想いを伝えさせていただいていた。


つまり作家とは、とても「ミステリアス」な存在だった。



が、今はどうだろう。


近年のSNSの普及により、沢山の作家が、何かしらのSNSで発信する時代になった。

インスタで作品だけ載せるタイプの方も居れば、Twitterで普通に呟いたり、時に強い意見を発信される方もいる。


私はギャラリー(委託店)という、作家とお客様の間にいる事により、気づいたことがある。


以前は、前述した通り、作家はミステリアスな存在であり、お客様が作品を購入する時に特に「これを作った人はどんな人なのか」を考える必要が無かった。



だが、今は明らかに違う。



作家自身がSNSで気軽に発信出来るようになった。


ここで一つ増えたのが、

「作家の人間性」

も見て購入するお客様の増加である。


私自身も以前は、作品が良ければ、作家の人間性は関係ないと思っていた。


でも今は、その人間性をとても重視している。




ある時、私はある作家様の作品を気に入って購入した。

が、その作家のSNSでの発言が、かなり攻撃的な事に気づいてしまった。

お客様の質問への言い方の酷さ、ギャラリーや店への不満。文句。


それを何度も目にしてしまうと、私の買った作品も、不思議なことに意地悪な顔に見えて来てしまった。


持っているのが辛くなり、欲しかった方にお譲りした。





そう、SNSは便利でもあるが、
その人その人の人間性が垣間見えてしまうのだ。




そして、お客様の意識も変わってきた。


作品はもちろんのこと、作家様の人間性も好き、という方の作品を選ぶ方が増えてきたのだ。


SNSは宣伝にもなるし、お客様とも会話ができて、
うまく使えていたら良い結果に繋がる。


が、逆に、過激な発言やブレブレな発言をしていると、お客様も引いてしまうのだ。



「いいものを作ってるだけじゃ売れない」

そんな時代に入ったと言われるが、正にそれを目の当たりにしている。



もちろん人によって考え方はそれぞれで、
作家がどんな人でも作品が良ければ関係ないという方もいる。


それはそれで良いと思う。

私は仕事として付き合っていく以上、
作品が素晴らしいのはもちろんのこと、
人間性も素晴らしい方達と付き合っていくと決めている。


ある程度売れっ子になってくると、
最低限の礼儀がなくなったり、思いやりが無くなったりという事は、正直何度も経験してきた。

もちろんギャラリー側の人間として、私にも未熟な部分は沢山ある。

そこは自分でも常に改善して行くつもりだ。

SNSは便利ではあるが、
使い方によってはお客さまの購買意欲を削いでしまう事があることを覚えておいていて欲しい。



この作家さんが好きだから買いたい

応援したい気持ちで買う


(※作品は好きは大前提)



現在、そういうお客様は本当に多い。


個人で販売する作家様も増えているが、
SNSビジネスも学ばずに過激な発信をすると、
時にとても勿体ない事になってしまう。



作品が良いのに、売れないという事態だ。



私の店コルメキッサに関しても、

「コルメキッサで買いたい」

「コルメさんから買いたい」 

と言って下さるお客様に支えられている。


もちろん、私の考えと合わない方は逆にうちで買わないと思う。


SNSは、武器にも凶器にもなるということを心に留めておきたい。



コルメ。


#作家
#ギャラリー
#SNSの弊害

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