20230724_予備過去H26年_行政法_判例

【日記】
 最近、アホみたいにソリティアをやっているせいか、頭がぼーっとすることが多い。
 トランプをひたすら動かすあのゲームだけれど、ただただ無心で動かし続けるのだが、意外と面白くて、時間がどんどん吹っ飛んでいく。しかも脳のリソースがどんどん奪われていくような気がする。
 「俺は野原ひろしだ、誰が何を言おうと野原ひろしなんだ」と言わんばかりに「これは脳トレだ、誰が何を言おうと脳トレに違いないんだ」と思いながらやっているのだが、本当に脳トレか?
 目がシパシパするし頭がぼーっとするし、クリアできたときは気持ちいいけど失敗したときはストレスで、しかも時間が吹っ飛ぶ。
 やってるときだけ楽しいなんて、タバコみたいなもんじゃないか。
 何をしてるんだ僕は。ソリティアをやってるんだけれど。

 ソリティアはもうやらない。
 僕はそう決めた。

「それって”制約”ってコト!?」
「そうだ。僕はもうソリティアをやらない。いや、ソリティア以外も含めて、ゲームをやらない」
「うーん、でも、それだとちょっと弱いかも?」
「プルルルルゥ」
「勘違いするな。ゲームをやらないというのは、あくまで制約だ」
「じゃあ、誓約もあるってコト!?」
「覚悟の量が力を上げる。しかし、それは高いリスクを伴う。そう、僕は、iphoneちゃんを賭ける。僕がゲームをしたら、iphoneちゃんが壊れる」
「フゥン?」
「すごい! それならできるよ、勉強!」

 というわけでゲームはもうしないようにします。
 ゲームしたらiphone叩き壊します。

 以下、勉強日記です。
 この日は行政法をガリガリしました。刑法もやってるけど、行政法メインで記載。

【勉強】
 さっき、平成26年の予備試験の行政法をやった。
 何回かやってるからイメージついてるけど、やはり細かいところは忘れている。
 勉強は繰り返して繰り返してやるのがいいはず。一回で定着しないのだから、何度も何度も同じ問題を繰り返して定着させて、それによって応用を効かせられるようになるはずなのだ。だから同じ問題を何度もやって完璧にできるようにするべきなのだ。

 設問1については、損失補償の部分がやはり曖昧である。他は問題ない。
 だから損失補償の判例をまとめることにする。

《判例》
「昭49.2.5_行政行為の撤回と補償(百選1の90)」である。

 今回も、とてつもなくわかりやすくまとめてみることにする。
 事実の概要は、書きやすいように、ちょっとだけ想像してこねくり回して書いてみた。

<事実の概要>
 X:主人公。原告。夢は富、名声、力というこの世の全てを手にいれること。
 東京都:ライバル。被告。一個人が生半可な気持ちで勝てる相手ではない。
 裁判所:ヒロイン。今は亡き、金髪ツインテールツンデレ釘宮ボイス。


 Xこと僕は、とにかく築地を楽しくしたかったのだ。
 だから、築地の中央卸売市場のど真ん中に、でかいテーマパークを建てたかった。クラブ、レストラン、喫茶店……そんなあらゆる昭和エンタメをぶちこんだ施設を作りたかった。そうしてこの世の全てを手に入れたい。
 だから、築地の土地を借りることにした。そこは東京都が管理してたので、もちろん東京都に話をつけにいったのだ。
「貸すのはいいんですけど、いつまで借りるおつもりで?」
 黒縁メガネの職員が、淡々と言う。だから僕は、そのメガネを見ながら言ってやった。
「世界一のテーマパークを建てたいんだ。土地を貸して欲しい」
「いや、だから、いつまで借りるのかを聞いてるんですけど……」
「世界一になるってのは、そんな甘いもんじゃないんだ。期限なんて、決められないよ」
「はあ……じゃあ、とりあえず期限を決めずに貸しますね
 そうして僕は、半永久的に土地を借りる権利を得たのだった。
「さて、次は、建物を建てないとな……有り金全部ぶち込んでやろう」
 そうして僕は、かなりの費用をぶち込んだんだ。
 世界一の夢を叶えるためにね。
 この土地、すごい荒れてたから、ちゃんと使えるようにするのもめちゃくちゃ時間がかかったよ。
「しかし、お金が足りないな……まずは喫茶店からスタートしてみるか」
 とりあえず建物を1つだけ建てた。喫茶店を営業する。他の施設は、喫茶店が繁盛してから建てる。今は何もない土地だけれど、そのうちどんどん増やしてやるからな!
 そして、土地を借りてから4年ほど経ったある日。
「いやあ、なんだか最近、築地が活発になってきたなあ。これだけ賑わっていると、人がたくさん来て、僕の夢も叶うってもんだ」
「どうもXサン。私、東京都の職員のYデス」 
「これはこれは東京都のYさん。どうも、Xです。土地を貸してくれて助かってます」
「それなんですガ、貸してる土地、ほとんど使ってませんヨネ?」
「ええ、もっと稼いでから建物を……」
「全然使ってないのが960坪くらいあるなら、返してクダサイ」
「な、なんだってー!?」
「今、このあたりはとても賑わってイマス。ですから、土地を遊ばせておくわけにはイカナイんデスよ」
「そう言われても、僕の夢を叶えるために、土地を返したくないです」
「そうでスカ、わかりまシタ」
「わかってくれたんですね」
「使用許可を撤回シマス。あと、その建物、どかして欲しいので、他の土地に動かしマスネ」
 そうして、僕の借りていた土地は、960坪くらいが東京都に返却させられたのである。あと建物が移動させられた。
 横暴!
 横暴!
 なんたることか、東京都は僕の夢をぶち壊したのだ!
「怒っタ?」
「当たり前だ!」ドン!

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 適当に妄想して書いたから、これを本人たちが読むと「なんじゃこりゃ」って思われるかもしれないけれど、許してください。

 そうわけで、以下は判決等をまとめてみた。

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<原審(東京高等裁判所)>
「あのねえ、財産上の犠牲が受任限度を超える『特別の犠牲』にあたる場合には、法律に損失補償規定がなくても、憲法29条3項を根拠として損失補償を請求することができるのよ。本件使用許可の撤回による960坪の土地に関する使用権の喪失は『特別の犠牲』に当たるから、さっさと1億円を補償しなさいよね」

<上告審(最高裁判所)>
①「地方自治法は、地方公共団体の行政財産の許可撤回について損失補償を認める規定をおいてないね。でも、国が契約を途中で切った場合は損失補償を認めてて、地方公共団体でもそれを準用してたね。だから、許可の撤回も同じだから類推適用できるでしょ。高等裁判所は憲法29条3項を根拠にしてるけど、そんなん言わなくてもいいのよ」
②「まあ、期間決めないで貸してたから、公共財産は本来、公共のために使われるものだし、私人にどう使わせるかは法律が決めるべきよね。地方自治法からしたら、用途や目的を妨げない範囲で利用可能としてるから、公共の目的とかが出てきてしまったのなら私人が借りる権利はなくなるってことが、そもそも予想されているんだもの。だから、借りる権利なくなっちゃうわよ、バカ。
 でも、たとえばだけど、借りてる人が「5年で元が取れる」といってお金先払いにして借りれたけど、3年後に土地を返さなくちゃいけなくなって「元が取れない……」というようなことだったり、使用許可をもらったときにずっと使っていいよみたいな特別の事情があったら、話は別ね。ふ、ふんだ、別にあんたのために言ってるんじゃないんだかね」

【以下まとめ】

<①法律上の補償規定について>
・受益的行政行為が撤回された場合、損失補償の要否が問題となる。
・地方公共団体の財産である公有財産は、公用または公共用に供される行政財産と、それ以外の普通財産とに区別される。
・行政財産は、地方自治法の列挙する一定の場合(238条の4第2項)には契約で、それ以外の場合(238条の4第7項)は許可によって私人に使用させることができる。

【238条の4第2項】
 行政財産は、次に掲げる場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
【238条の4第7項】
 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。

・当該財産を公用または公共用に供する必要が生じた場合は、契約を解除でき(238条の5第4項)、許可を撤回することができる(238条の4第9項)。

【238条の5第4項】
 普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国、地方公共団体その他公共団体において公用又は公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
【238条の4第9項】
 第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。

・そして契約の場合は、損失を求めることができるとされている(238条の5第5項)。しかし、後者の場合はそのような規定がない。

【238条の5第5項】
 前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。

・当時、国有行政財産の使用許可の撤回には、損失補償の規定があった。しかし、地方公共団体の行政財産には、同様の規定がなかった。
・規定がなくても憲法29条3項に基づいて、損失補償が請求できると高等裁判所はいった。しかし、最高裁判所は「公平の原則からして、それ類推適用できるから、別に憲法29条3項のことは言わなくてもいいと思うよ」といった。

<特別の犠牲について>
・法律の規定から、損失補償をすることが仕組みとして認められているとしても、損失補償が認められるためには「特別の犠牲」が生じている必要がある。
・そもそも「損失補償」とは、適法な公権力の行使により、特定の者に財産上の「特別の犠牲」が生じた場合に、公平の理念にもとづいて、その損失を填補する制度である(なお国家賠償制度は、違法な公権力の行使に対するものである)。
・国賠については国家賠償法がある。しかし、損失補償については29条3項と、個々の法律内に規定があるのみで、一般法はない。


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