雨垂れ穿つは君の肉
その日は秋と冬の間の頃合いだった。
紅葉した葉がすっかり地に落ち、土色の地面を点描画のように彩り豊かに染め上げていた。
そんな落ち葉を踏み締めて木々の生い茂る森奥へと掻き分けて入っていく。山歩き用の靴では無い普通のスニーカーだからか、落ち葉や土道は気を張っていないとバランスを崩し易い。こんな事ならと後悔の念に苛まれながらも、慎重に一歩一歩踏み締めて歩いていく。
自分以外、人気は無い。湿った森の中だ。
鳥の鳴く囀りだけが響く午前六時。
朝靄が湿った空気を漂わせつつも、しんと冷え