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雑記 (2022/10/23) 〜ブエノスアイレスを観た〜

先週のことだが、ウォン・カーウァイ 4K 特集でやっていたブエノスアイレスを、少し遠い映画館まで観に行っていた。

この先、ネタバレ (物語の結末) を含みます。

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あらすじ (結末含む) をざっくり説明すると、『イグアスの滝を目指して旅行中の男×男カップルが喧嘩別れして、旅費を貯めた主人公 (ファイ) だけイグアスの滝を観て故郷に帰る』みたいな感じ。

私がこの作品を知ったのは中山可穂先生のあとがきかエッセイだったように思うが、まさに、「それ〜!」というストーリーであった。

主人公のファイとその恋人であるウィンはなんやかんやあって別れるが、互いのことを忘れられない。この、「忘れられない」の書き方が非常にうまい。また再開するたびにお互いの心を抉るような口喧嘩を繰り広げて、それでいて落ち着くと相手のことを心配しているという、愛情とも親愛とも違う情を強く感じる映画だった。

有名なシーンとしては「狭いキッチンで拙いタンゴを踊るファイとウィン」(だいたいポスターとかはコレ) だ。しかし私が一番刺さったのは、ファイが「悩み事を吐き出すように」と渡されたテープレコーダーを前に、何も言えないシーンだった。 (これも有名なのかもしれない)
その時点でのファイは、自分の部屋に転がり込んできたウィンとの関係がうまくいかず、またテープレコーダーを渡してくれた (ほとんど唯一の心の支えであった) チャンも次の旅に向かうという状況で、悩みを山のように抱え込んでいる状態だった。けれど、ファイは何も言わない。ただ、ほんの少しだけ啜り泣く。言わないシーン。ファイの苦しみを痛いほど感じたし、映画の強みだとも思った。

詳しいあらすじは wikipedia とかにも書かれているし、調べたらいくらでも出てきそうだけれど、一度見ておいて損はないと思う。色々と勉強になりました。

おわり

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