近年の小学校お受験試験内容の動向11 入学試験の出題範囲 お受験合格への道2022
今回は近年の小学校お受験試験内容の動向の第11弾として小学校お受験に関して入学試験の出題範囲についてお伝えさせて頂けたらなと思います。
入学試験の出題範囲
今回は小学校お受験で出題される問題の傾向をお伝えしていきたいと思います。
幼児期における心身の発達段階の目安は、平成4年に改訂された「幼稚園指導要領」の解説に添付されていた資料を確認していくと理解しやすいので以下に抜粋をしながら解説させていただきます。
後述する内容から、小学校お受験の学校側のねらいは、どの辺にあるか理解して頂けるかと思います。
身体の運動的発達
[4歳児]
1.スキップができる
2.片足立ちをしようとする(少しの間ならできる)
3.走り幅跳び、立ち幅跳びができる
4.ボールをじょうずに投げられる
5.はさみで形の切り抜きができる
6.ひもを結ぶことができる(固結び)
[5歳児]
1.片足立ちができる
2.小さい物を巧みに扱える
3.三角形を模写する
4.はしを巧みに使う
知的能力の発達
[4歳児]
1.13まで正しく数える
2.重さの比較ができる
3.3つの数字の復唱ができる
4.3つの命令を正しく実行する
5.語彙数の増加が著しい
6.発音が正しくなり、赤ちゃんことばがなくなる
7.非常によく質問する
8.簡単な課題を解決する
[5歳児]
1.求知心が強くなる
2.想像と現実との区別が十分につかないところが間々ある
3.1つのことを始める前に一定の計画を持っている
4.用途によって物の定義をする
5.手の指の数が正しく言える
6.右と左の区別ができる
7.成人との話が自由にできる
8.いろいろな貨幣の名前をいえる
9.昨日、今日、明日の区別ができる
10.具体的推理ができる
小学校お受験の試験内容を見ると、これらの身体及び知的な能力の発達を考慮して、入学試験が実施していることがわかります。
また、標準的な発達段階から逸脱しない点と、月齢を考慮して試験を実施すると発表している小学校もあります。
情緒的発達
[4歳児]
1.3歳児と同じようなことで泣きやすいが、だいぶ自制できるようになる
2.理由のない恐怖心(たとえば、暗やみに対する)が多い
3.かんしゃくは、ほとんど起こさなくなる
4.怒ったときの表情が次第に抑制されるようになってくる
5.小さい子供を可愛がることを喜ぶようになる
6.反抗期が終わり、大人の権威や命令に従うようになる
[5歳児]
1.泣くことが非常に少なくなる
2.恐怖心が、やや 少なくなるのが普通である
3.怒り、かんしゃくは、ほとんど抑制される
4.感情や情緒は分化して、大人に見られる大部分の情緒が現われる
※はにかみ、恐れ、心配、怒り、しっと、うらやみ、失望、不快、
いみきらい、親への愛情、小さい者への愛情、のぞみ、喜び、快い等
社会的発達
[4歳児]
1.自分で着物を着たり脱いだりする
2.排便のことは全部自分でできる
3.歯をみがく
4.顔を洗う
5.多人数の中にある自分というものを意識しはじめる
6.他の子供たちと協同的に遊びはじめるが、2人か3人グループが多い
7.簡単な遊戯の規則を守ることができる
8.ごっこ遊びが、最も盛んである
[5歳児]
1.独立的で自信を持ち、従順になるので物事をまかせられる
2.小さい者をいたわる
3.自分の周囲の社会生活を遊びに取り入れる
4.2人ないし5人ぐらいのグループで協同的に遊べる
5.友達と遊ぶことを好む
6.自己主張をし、他人への依頼感を持ち社会的協同性を持つようになる
情緒的・社会的発達は独力で集団生活を送る準備が整っているか否かの評価基準として用いられています。
小学校生活を行うに向けて、集団で他者と協調し成長していくことに阻害要因がないか、お受験前に家庭でチェックしてみるのも準備として有効であると言えます。
小学校お受験に関しては特に情緒的・社会的発達で差がでることも多いので、社会規範としての倫理観・道徳観念を中心に基本的な生活習慣や挨拶などの生活技能を正しく身に付け、子どもの意欲を育むため好奇心に刺激を与え、自発的に学校生活に取り組める環境を整えるのが、幼児期にふさわしい受験準備であると考えています。
また、2011年3月11日に起きた東日本大震災以降は「安全な通学」も欠かせない条件になり、学校側も説明会で自然災害対策の話をするようになっています。
まとめ
2020年度時点で東京都にある私立小学校は54校となります。入学倍率の高い学校は、依然として入学の条件は厳しく、それなりの準備は必要です。
しかし、小学校お受験や乳幼児教育が商的な利用をされている昨今、家庭を煽るような情報に惑わされてしまうと、家庭が受験地獄に陥ることになりかねません。
小学校のお受験では、幼児のバランスの良い発達に着眼した出題傾向が強いため、乳幼児の家庭の養育のあり方と深い関りがある面が強いと言えます。
次回は、家庭の養育との関係性をみながら「合否判定の項目」に関してお伝えさせて頂けたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回のコラムも私の個人的な知見に基づくものですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様のお受験に役立てて頂けたらと思います。
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