近年の小学校お受験試験内容の動向12 入学試験内容の分析 お受験合格への道2022

 今回は近年の小学校お受験試験内容の動向の第12 弾として小学校お受験に関して入学試験の内容を分析していきたいと思います。

巧緻性に関する問題

 巧緻性とは「きめこまかく上手にできること」を指します。ご存知の通り、「手は第二の脳」といわれており、「塗る・折る・切る・貼る・結ぶ・摘む・包む」といった手作業、何かを作ったり、絵を描いたり、手本と同じものを描いたりする問題が出題されます。

 巧緻性の問題が出題されるのは、手作業を誰の手も借りずに、指示されたことができるかどうかを観察することで、自立の程度を評価していると考えられます。


制作に関する問題

 制作の問題には大別して、課題制作と自由制作があります。

【課題制作】
 例えば、試験担当者は以下のように出題します。

 「今から、動物の起き上がりこぼしを作ります。
 このように、画用紙を半分に折り、折り目のところが背中になるように動物を描きましょう。描けたら動物を、このようにして切り抜きます。そして、別の紙を筒のようにまるめて、それに動物マークをホチキスで止めましょう。最後に、セロテープで粘土を筒の中に貼って、完成です。」

 などと、試験担当者の手本を観察してから制作に取り組みます。

【自由制作】
 例として、試験場所には、"空き箱、画用紙、色紙、折り紙、セロハン、リボン、ひも、モール、輪ゴムなどの材料や、はさみ、のり、ホチキス、クレヨン"などが置かれています。

 「ここにあるものを使って、自由に好きなものを作ってください。」

 子どもたちは、基本的に制作は大好きですから張り切ります。しかし、なかには試験担当者の説明の最中に作り出す子どももいます。

 話しを最後まで聞くのを待てないのです。最後までしっかりと聞いておかないと、制作手順がわからなくなることもあり、途中でギブアップしてしまうことも考えられます。

 この様な試験の状況は、普段の生活態度が表れてしまうことが多いので、養育の過程のなかで、

 「話を聞き、指示どおりに遂行できるか」

 と、いう点を確認しておくことも大切です。不安があるようであれば、話しを聞きながら手順をイメージする手法や、家庭のなかで最後まで話しを聞かなかったが故に失敗してしまった経験を体験し行動の改善を促していくことも必要です。

 また、制作を苦手とするお子さんの場合は、獲得するべき生活技能をリストアップし、家庭で身につける生活体験型の学習を計画・実施することも効果的です。

【模写】
 模写は、試験担当者が示す題材を真似して写すことを指します。

 「この、お手本と同じように描きましょう」

 と、試験担当者が出題し開始となります。

 模写には、点図形と線や図形の模写があります。

 ≪点図形≫
 点図形は対称図形が多いのが特徴ですが、簡単なものも、しっかりと線を引くことが大切です。

 注意点としては、どこから始めたらよいのか迷ってしまうものや、線が点と点の間を抜けていく構図もあり、理解に時間を要すものもあります。

 全体像を認識しつつ、正答を想像しなければなりません。観察力と集中力、そして持久力や忍耐力や能力全体のバランスも必要になります。

 また、模写の問題では、点と点をつなぐ直線がよじれたり、脱線をしたり、通過すべき点を無視しない様に練習をしましょう。

 点図形は、その完成度から簡易的な心身の発達や美醜の感覚、基本的な生活習慣、しつけ、養育姿勢まで判定・評価することも可能です。

 基本は、背筋をきちんと伸ばし、左手でペーパーをしっかりと押さえて、筆記用具をきちんと持って丁寧に描くことです。試験では図画の正確さ以外にも姿勢に関する評価も強いので意識的に直しましょう。

≪線の模写≫
 線の模写は、点線などで手本が示されています。鮫の歯のような連続した三角形や、半円が上下に反転しながら連続するもの、筆記体のアルファベットの小文字の「エル」が連続したものもあります。

 試験対策は回答用紙を指で何度もなぞり、脳に一筆で描ける感覚をしっかりと学習させることが大切です。長さや間隔が乱れないように見守りましょう。

 しかし、いずれも子どもにとっては難しい作業なので、根気強く続けることが大切です。

≪図形の模写≫
 図形の模写は、線の模写と違い、四角、三角、円、菱形、ハートなどさまざまな形が、いろいろな組み合わせで出題されます。全体の配置状態、バランスなどの把握が必要なため、子どもには難しい問題であると言えます。

 試験対策として、最低限、図形の○△□は、正確に描けるようにすることが大切です。

 ・○の書き方
 下から時計まわりで描きます。上から左回りに描くのは数字のゼロです。

 ・△の書き方
 頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から右へ底辺を描きます。左斜め下から、右方向へ底辺を描き、左斜め上の頂点を目指して描くのは、大人の使う簡略法で、子どもにとっては書写違反です。

 ・□の書き方
 漢字の国がまえと同様の書き方です。左から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子もみられますが、これも書写違反となります。

 文字には筆順がありますから、図形をきちんと描ける子は、きれいな字も書けるようになります。

 基本的なトレーニングとして効果的なのは、例えば、大きな○を描き、その中に、それより小さな形をどんどん描くことです。

 同様に□△◇もやってみましょう。前のものより小さく描き、その微妙な差を脳に教えることができます。お子さんがうまく描けずに嫌がった場合は家族でゲーム感覚で行うのも効果的です。あせらず、じっくりと時間をかけ、丁寧に描けるように導いてあげましょう。

 また、鉛筆を正しく持てているかどうかも書くことには大切なことなので、当初から気を付けておくことが大切です。

 鉛筆を正しく持つトレーニングは持ち方を教えた後に、Bか2Bの鉛筆で、直線や円などを自由に書くのが有効です。

 このトレーニングは、スピードを上げても問題はありません。鉛筆で速く描くには、しっかりと持たなければいけませんし、どの辺を持てばよいかも体感できるからです。

 力み過ぎてしまうと手首を疲れさせるてしまいますが、力配分やバランスも、次第にわかってくることが多いです。

 三角軸の鉛筆を使うのも効果的です。

 一方で、ボール遊び、縄跳び、鉄棒など両手を使う運動を活用して握力をつけるのも総合的に良い作用が生まれます。机の上だけではないトレーニングにも、目を向けると楽しく学習ができ、身につき継続しやすいです。

はしを使った問題

『出題例』
 角砂糖程度の大きさのプラスチックの立方体が、お椀の中にたくさんあり、はしと空のお椀が用意されています

 「お椀の中のものを、空のお椀にはしを使って、一つずつ移してくだ
 さい」

 これは、はしを使用して「摘む」という手作業の試験です。プラスチックの立方体の他に、はしで小豆やスーパーボール、玩具のミニチュアの果物、落花生、金平糖などを摘まむ問題が出題されています。

 しかし、学校側は、はしの持ち方という基本的な生活習慣の習得度を観察・評価しています。これは、しつけと関係が深くあります。一般的な目安として、3歳ぐらいからはしを使えるようになり、5歳頃には、巧みに使えるようになると言われています。

 以前、立教女学院小学校の説明会で教頭先生から以下のような発言がありました。

 「鉛筆の持ち方やはしの持ち方は、一度悪い癖がつくと直しにくいので、家庭で正しい持ち方、使い方を身につけさせてほしい。あえてこの場で申し上げますが、今年度もテストの中ではしを使う場面がございましたら、はしで物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しいはしの持ち方ができているかを見ていることをご理解いただきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化でもあるはしの使い方を、きちんと身につけてほしいと考えています」

 小学校お受験の判断・評価基準に適切な生活技能の習得が必要だという表れです。

まとめ

 巧緻性の問題には、受験者の養育状況を把握する要素も含まれていると言えます。心身の健全な子どもの発達状況を把握するにはお受験という短い時間で、養育環境も多角的に判断されてしまいます。

 必ずしもそうではありませんが、適切な養育環境であれば健全な子どもが育っているという面も少なからずあります。

 そのため、試験の場で客観的にどの様に判断・評価されることが重要になります。そして、そのためには乳幼児期に適当な社会生活技能を身につけ、日常生活で支障なく実践できていることが重要になります。

 お受験をするお子さまの中には、普段通りに力を発揮できない子もいるかもしれません。その様な時に本人の支えになるのも日頃の積み重ねであると言えます。

 前回、「幼稚園指導要領」の解説をさせて頂きましたが、幼児のバランスの良い発達状況を確認して頂きながら、バランスの良い養育を実践していくことが、小学校お受験の合格にはとても大切なことだと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 今回のコラムも私の個人的な知見に基づくものですので、必ずしも正しいとは言えませんし、他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、大切なお子様のお受験に役立てて頂けたらと思います。

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