鬼頭史郎の証人喚問に対する宣誓拒否理由
鬼頭史郎の1976年11月12日に行われた証人喚問に対する宣誓拒否理由は読売新聞1976年11月12日夕刊によると以下の通り。
宣誓について 議院における証人の専制および証言等に関する法律第四条の規定により、証人としての宣誓をお断りしたいという申し出をいたします。
理由 一、本院法務委員会、ロッキード問題に関する調査特別委員会が国政調査活動ないしその委員会審議を通じ、いわゆるロッキード事件の解明に多大の努力を払われ、かつここまで貴重な成果をあげられたことにつきまして、証人は心から敬意を表します。
二、そして、本日、私に証人として出頭を求められ、証言を求められておりますいわゆるニセ電話事件が、ロッキード事件の捜査過程において生じたものであることも、証人としては新聞、テレビ、雑誌等マスコミ報道により概略は承知しております。
三、しかしながら、これらの益子、違法動画確実な根拠、取材に基づき、正確なものとして報道しているところが仮にすべて真実であれば、ご案内の通り本証人は、これに関する被疑者とされ、場合により、これについて刑事訴追を受けるおそれなしとしない状況にあります。
四、証人といたしましては、従来一般に伝えられているところが誤解によるものであるゆえんを、最終的に関係証人の供述等により十分に明らかにし得るものと確認しておりますし、現にいわゆるニセ電話の加害者ではないことを、改めてこの機会に明確にしておきたいのでありますが、いかんながら、現在一部マスコミによって誤解の余地なき事実についても明白に虚偽の報道がなされております。
五、例えば、七月下旬に京都市内でソニー製の録音装置そのものを証人が購入したとか、いわゆる電話録音の方法等について、証人がこれを七月下旬に祇園祭のころ、第三者にたずねたとか、本院ロッキード特別委員会の最初の喚問予定日の前日である七月(注・十月の誤りか)二十七日夜、東海道新幹線内で証人が日本酒五、六本を飲み、東京駅等で千鳥足で下車した等の過熱したマスコミ報道に乗じたデタラメの情報がとびかっていることは周知のところであります。
また、証人に対するマスコミの報道が、当初は事実無根ないし傍聴された事実にもとづくスキャンダラスな報道に始まる個人人格のイメージダウンを出発点とし、さらに最近では証人と証人の同志、友人間の信頼を証人みずからが棄損した等の事実無根の事実が報道され、その結果、これらの人々の間における小生の孤立化を促進するおそれのある誤った報道も散見されるのでありまして、かくては証人としては、捜査段階において、これらの同志、友人の十分な協力、証言を得て、みずからの無実を証明する方途を得ることについても、現状では従来以上に格段の努力を求めなければならない状況に立ち至りつつあります。
五、従いまして、かような状況下におきましては、現在、証人は被疑者不詳の家宅捜索を受けたにとどまるものであります。仮にさらに何人かの謀略が加わり、あるいは捜査機関でのち密な物証の検討を欠くにつき、過誤が存愛下場合は、ひいては捜査の進展と言う事態等が存愛する場合におきましては、証人をして、被疑者と誤信せしめ、ひいては情状いかんによって、刑事被告人の地位に立たしめるおそれなしとしないことは明白であります。
六、申すまでも(なく)本連合審査委員会がご関心をお持ちの本事件は今や政治問題化し、国政上の重大な関心事でもあります。しかし、同時にこれは証人にとっては、誤って刑事訴追を受けるかどうか、あるいは証人としてどのような防御手段を講じうるかどうかという点で一個の法律問題でもあります。
七、そこで証人は本院法務委員会、および本院ロッキード問題に関する特別委員会合同の本日の折角の出頭要求でありますが、法律にしたがい、冷厳にその権利を行使し議員における証人の宣誓および証言に関する法律第四条にしたがい、宣誓拒絶の意向を一応表明するものであります。
以上述べました証人の法律的理解と対応を了とせられ、証人として出ないしその真意を純法律的に冷静に受け止められくれぐれも誤解のないよう切望する次第であります。
八、おって、議院における証人の宣誓および証言等に関する法律第四条の引用する民事訴訟法第八十二条の規定の趣旨により、証人の宣誓につき法廷除外理由の存在する事実を疎明すべく、一連の報道資料中、証人の右主張に添う部分をここに提示いたします。
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