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『幻の織物』

みなさんこんにちは!
小倉活性化プロジェクトのKokurallyです!
毎週月曜日に、小倉の歴史・文学・産業に関する記事を公開しています。

今回は、小倉の織物技術を象徴する小倉織について紹介していきます!

1. 小倉織(こくらおり)の特徴
小倉織は、江戸時代から昭和の初めにかけて豊前小倉(現在の北九州市周辺)で盛んに織られていた木綿の織物です。かの徳川家康が鷹狩の際の羽織として愛用したと記録に残っており、全国で珍重されていました。

特徴として縞柄が現れることでも有名です!
また、小倉織は生地が丈夫であることでも高い評価を得ていました。しかし、普及しすぎて劣化したコピー品が全国で出回ったことで人気が低下し、戦時下の不況もあって昭和の初め頃にはほとんど姿を消し、やがて途絶えてしまいました。
ですが近年になって復元、再生され、小倉織の機能性・デザイン性によって再び人気となっています!

小倉織の特徴の一つであるたて縞は、なぜ現れるのでしょうか?それは、一般の日本手ぬぐいと比較してみることでわかります。
下の写真は、小倉織と日本手ぬぐいの表面を拡大した写真です。

「写真提供:豊前小倉織研究会」
織られた布の表面を見ると、小倉織はたて糸がぎっしりと隙間なく並んでおり、よこ糸がほとんど見えません。一方、日本手ぬぐいはたて糸、よこ糸が均一に見えています。実はこの、ぎっしりと隙間なく並んだたて糸こそが小倉織の丈夫さの秘密であり、たて縞の理由でもあったのです。よこ糸が見えないほどたて糸が高密度になっているために、「たて縞」にしかならず、丈夫になります。当時からいかに小倉の織物技術が発達していたかが窺えますね!

2. 幻の織物
さて、そんな丈夫で特徴的なたて縞模様を持つ小倉織ですが、一体だれが作り始めたのでしょうか?
実はこの小倉織、誰が作り始めたのか判明していないのです!小倉織は文献の中には江戸初期から登場するのですが、明治から昭和初期にかけては、「霜降り」と呼ばれるグレーの男子学生の制服が全国に広がり、夏目漱石「坊ちゃん」にも「小倉の制服」が登場するほど定着していました。 地元小倉高校の男子の制服は冬服の黒い学ランだけでなく、合服としてグレーの学ランがあり、今は小倉織ではなく化学繊維になっていますが、生徒たちには今でも「霜降り」と呼ばれその名残があります。その後、前述した流れで途絶えてしまい、生地自体もほとんど現存するものがなくなってしまったために、「幻の織物」なんて呼ばれていたそうです!

そんな、「幻の織物」と呼ばれていた小倉織には、こんな伝承も残っています。「ある武士が槍で腰を刺されたが、下を向いた槍の穂先が小倉織の袴の裾をすべったため、その武士はかすり傷を負うこともなく、袴も槍の跡を残したのみで破れていなかった。」 この話が伝わり、武士の間では「武士の袴は小倉織に限る」と言われ、小倉織で作られた 袴は日本中で愛用されていたようです。寺子屋に通う子供たちや、道場で剣術の稽古をしている若者までもが小倉織の袴を着用していたようです!

「小倉縞縞」本店(福岡県北九州市小倉北区大手町3-1)にて撮影。

3. 現在の小倉織
かつて武士に大人気だった小倉織ですが、現在では、小倉織を使用した製品は数多く作られています。
その中でも是非皆さんに知ってもらいたいものを紹介します!

☆小倉織「布マスク」
(「プリーツ型」「箱型」の2種)
新型コロナ対策のために、今や外出時には欠かせないマスク。なんと、小倉織を使ったマスクがあります。小倉織を使った様々な製品を手掛けるブランド「小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA」さんによると、小倉織は上質な細い糸で織られ、たて糸が通常の約3倍多く、高密度な綿織物であり、とても丈夫です。
それだけではなく、繰り返し洗えて、しなやかで肌ざわりもよいため、まさにマスクとしての適性を備えているそうです!

「写真提供:(株)小倉縞縞」
生活必需品であるマスクが、小倉織との融合によってオシャレアイテムに大変身!
着けていきたくなりますね(*^^)

☆ブックカバー
外出が減った今、本を読む機会も増えていると思います。最近では、「本のタイトルや表紙を見られたくない」という理由ではなく、インテリアのグッズとしてブックカバーを用いる人も多くいます。
小倉織を使ったブックカバーは、シンプルで上品なデザインであり、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。もちろん、マスクの紹介の際も述べたように小倉織は丈夫ですので、外出時でも本を守るという役目を果たしてくれます。
あなたの愛読書を、ぜひ小倉織のブックカバーで包んであげてください(^^♪

この他にも、風呂敷、エコバッグ、長財布、眼鏡ケース、リュック、エプロンなど、小倉織を用いた製品はたくさんあります。派手ではなくシンプル、上品で丈夫といった小倉織の特徴は、日々の生活の様々な場面に馴染みます。是非、日常生活に小倉織を取り入れてみてください!

「小倉縞縞」井筒屋店(小倉井筒屋本館6階)にて撮影。

みなさん小倉織については、いかがでしたか?
誕生してから、現在まで様々な人々に愛用されている小倉織の魅力を感じることはできましたでしょうか?一度は途絶えてしまった小倉織ですが、小倉を代表する伝統工芸品として再び注目されています!
小倉織について興味をもたれた方は是非、ご自分の手で小倉織に触れてみてください!

【参考文献・引用記事】
小倉織の歴史―豊前小倉織研究会
http://www.buzenkokuraori.com/about/

伝統の小倉織盛衰記 北九州の地に芽生えた小倉織 https://ci.nii.ac.jp/naid/40004365208

株式会社小倉縞縞
http://shima-shima.jp/
http://shimashima.shop-pro.jp/ (「小倉 縞縞」オンラインストア)

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